世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2021.07]【島々百景 第62回】 トメアスー ブラジル【文と写真 宮沢和史】

[2021.07]【島々百景 第62回】 トメアスー ブラジル【文と写真 宮沢和史】

文と写真●宮沢和史  ブラジルの北部パラー州のトメアスーという小さな村の土を初めて踏んだのは2008年の1月のことだった。アマゾン川河口域に広がる大都市ベレン で「アマゾン トラベル サービス」を営む佐賀県出身の北島義弘さんの案内で小型軽飛行機に揺られ、直線距離で200km程度内陸に飛んだところに突如その村は現れた。日本人が移民として20世紀の初めに入植し、未開の地を切り開き、そこに村を興したのだと聞いてはいたが、実際に自身の身で現地に向かってみると、なぜこんな奥地に日本人

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[2021.06]【島々百景 第61回】 ベレン ブラジル【文と写真 宮沢和史】

[2021.06]【島々百景 第61回】 ベレン ブラジル【文と写真 宮沢和史】

文と写真●宮沢和史  歌や踊り、エイサーの演舞など、沖縄の伝統芸能・行事を現代的にアレンジし、若手の歌い手や踊り手達とともに複合的な舞台を作り上げ、海外で暮らす沖縄系日系人たちやホスト国の国民に披露したいと、一昨年の2019年から準備をし始め、2020年の秋には具体的にブラジル・アルゼンチン・ペルー・ボリビアの都市を周ろうと計画していたのだが、COVID-19の世界的大流行によって頓挫をきたした。南米を何度も何度も旅してきた自分にとってこのプロジェクトはひとつの集大成であり

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[2021.05]【島々百景 第60回】 大正区 大阪府

[2021.05]【島々百景 第60回】 大正区 大阪府

文と写真●宮沢和史  この『島々百景』は本紙が紙媒体であった頃から続けていて、39話まで来たところで一旦単行本にまとめて発売した。連載開始当初から宮沢が旅をしてきた島々について書き連ねてきたわけだが、単行本になる最後の方では島に限らず、海無し県の山梨県や奈良県についても書いた。「そもそも地球上の陸地は全て“島”じゃないか!」「“島”とは必ずしもアイランドを指す言葉ではない。他所とは一線を隔てた自分たちのテリトリーである“シマ”を指す言葉でもある」という言い訳めいた言い分で武

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[2021.04]【島々百景 第59回】 秋田県 その2

[2021.04]【島々百景 第59回】 秋田県 その2

文と写真●宮沢和史  自分は生まれた時から身体が弱く、小児喘息を患っていて、かかりつけの内科の先生からは “風邪の神様” というありがたい汚名を授かり、発育も遅く、身体も小さく幼稚園をよく休んだ。小学校1〜2年生まではそんな調子だったのだが、3年生になり、高学年の先輩との集団登校が終わると近所に住むある同級生がよく声をかけてくれるようになり、登下校を共にする時間がひとつの楽しみになった。荒川という甲府盆地を流れる川の近くに僕らは住んでいたのだが、その男の子がある時、荒川へ釣

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[2021.03]【島々百景 第58回】リマ|ペルー

[2021.03]【島々百景 第58回】リマ|ペルー

文と写真:宮沢和史  世界の新型コロナウイルスの累計感染者数・死者数を見てみると、ご存知の通り、その上位は主に南北アメリカ大陸とヨーロッパ諸国が占めているが、上位20カ国のうち、13カ国がこれまでに訪問したことがある国だったのには驚いた。デリケートな問題で、推測や憶測でものを言ってはいけないが、自分が好んで渡航してきた国々は人の交流、物の交錯によって文化が生まれてきた背景がある場所が多く、現在も人間同士が摩擦し合うことによって推進力を生み出しているような活気溢れるエネルギッ

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[2021.02]【島々百景 第57回】リスボン|ポルトガル

[2021.02]【島々百景 第57回】リスボン|ポルトガル

文と写真:宮沢和史  旅についてのインタビューを受ける時、「海外で暮らすとしたらどこがいいですか?」と聞かれることがある。一応今までに旅をしてきた街を思い浮かべてはみるものの意外と思い浮かばない。頭の中で地球儀が一回転回ってやはり日本がいい、という結論になる。当たり前のことだけれど、それぞれいいところもあれば悪いところもある。理想的な国なんていうものは存在しないのだろう。我が国に対し言いたいことは日々増すばかりだが、他と比べて秀でている部分が多いのも確か。海外に出るとつくづ

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[2021.01]【島々百景 第56回】ホーチミン|ベトナム

[2021.01]【島々百景 第56回】ホーチミン|ベトナム

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[2020.12]【島々百景 第55回】チラデンチス / オウロ・プレト ブラジル ミナスジェライス州

[2020.12]【島々百景 第55回】チラデンチス / オウロ・プレト ブラジル ミナスジェライス州

文と写真●宮沢和史  12月4日現在、新型コロナウイルスに完成している人の数はNHKの特設サイト(米 ジョンズ・ホプキンス大学の発表をもとにしたデータ)によると、世界で65,220,557人、死者数は1,506,251人。最も感染者が多いアメリカ合衆国では、感染者数14,139,577人、死者数は276,325人、感染者数が1日で20万人に達することがあるようだが、この数字は日本の今日までの累積感染者数よりも5万人も多い…。桁が違う。ついでインド、ロシア、そして、ヨーロッパ

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[2020.11]【島々百景 第54回】山原(ヤンバル) 沖縄県

[2020.11]【島々百景 第54回】山原(ヤンバル) 沖縄県

文と写真●宮沢和史  2019年10月31日に首里城正殿、北殿、南殿が焼け落ちてから1年が経過した。5度目の再建に向けて集まった寄付金は49億円近くにものぼると聞き、前回の復元から30年近く経って島内はもちろん、全国、いや、世界から愛されるお城であったのだなと改めて実感しているところである。目に見える形としての琉球の尊厳である首里城が焼失した直後の県民の失望感は相当なものであった。彼らの胸中を察するたびにこちらの胸が苦しくなった。“島唄”という歌を作り、沖縄と深く関わるよう

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[2020.10]【島々百景 第53回】田沢湖   秋田県仙北市

[2020.10]【島々百景 第53回】田沢湖 秋田県仙北市

文と写真●宮沢和史  絶滅した生き物が復活したという話を自分はこれまで聞いたことがないが、“絶滅種”から“野生絶滅種”に昇格(?)した生物がいる。国鱒(クニマス)である。日本で唯一の生息地だったのは秋田県仙北市にある広大な湖 “田沢湖”。戦前まで内水面漁業においてこのクニマスは食料資源だった。古くは江戸時代の1670年代にクニマスに関する最古の文献が残っているという。1800年代頭には献上品としての記述が多く残されている。庶民の食卓の魚というよりは、献上用、贈答用の高価な魚

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