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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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#ラティーナ2017年4月号

[2017.04]「ラ・クンパルシータ」  100周年に寄せて -Ⅱ- 名曲を作った男  ヘラルド・マトス・ロドリゲスの悲喜こもごも

文●西村秀人  1917年「ラ・クンパルシータ」を作った学生ヘラルド・エルナン・マトス・ロドリゲスは、楽譜出版社に安く買いたたかれ、そこで得たわずかなお金も競馬で失い、レコードの印税を受け取ることもなく、失意にくれていた。一説によれば、ヘラルドは自らの運をもう一度試そうとコロラド党の勝利を祝ったマーチ「1月14日」、競馬馬に捧げたタンゴ「ラスパイル」、サッカーチームに捧げたタンゴ「ナシオナル・フォーエヴァー」の3曲を1917年に作曲したが、出版にも至らなかったという(なお1

[2017.04]【連載 ラ米乱反射 #132】米州南北間の歴史的矛盾が爆発 トランプ米政権に翻弄されるメキシコ

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  私は1967年3月1日、長距離バスでメキシコ市に到着、職業ジャーナリストになった。それから半世紀が過ぎた。私の記者生活とラ米取材はメキシコから始まったのだ。だが、そんな感慨に浸る暇がないほど忙しい。メキシコは今、北隣の巨人・米国の大統領ドナルド・トランプに揺さぶられ続けている。3240㎞の墨米国境は両国間の境界線であるだけでなく、米加両先進大国とメキシコに始まるラ米大陸を分ける境なのだ。すなわち米州の北と南の境界であり、地政経学的かつ社会文

[2017.04]【第3回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】ルドヴィコ・エイナウディ: ピアニストの宇宙

文● 二宮大輔 Ludovico Einaudi  私の行きつけの喫茶店では、地元京都のミュージシャンのCDが店内BGMとしてかかっている。中でも人気は、インディーズのロックバンドでキーボードを担当しているYatchiのソロ・アルバム「Metto Piano」だ。ピアノやキーボードの一発録音で構成されたこのCDをかけると、一見客からも「これは誰の曲ですか?」と尋ねられることがよくあると喫茶店のマスターが言っていた。アルバムの題名は「目とピアノ」をイタリア語風に言い換えたも

[2017.04]連載 小松亮太のタンゴ場外乱闘 #10 バンドネオンは罪作り

文●小松亮太 text by RYOTA KOMATSU  小松亮太さんの著書『タンゴの真実』が発売されたことを記念して、過去の月刊ラティーナに連載した記事を掲載致します。  だからといってタンゴは安泰だと言う気は微塵もないけれど、とにかく日本ほどドラマや映画のサウンドトラックで、あるいはゲーム音楽で、バンドネオンの音色が頻繁に聞かれている国もないだろう。その演奏のほとんどが多少なりとも僕が昔に教えたことがある人たちによるものであることを誇りに思う。このマイナー楽器がやっ

[2017.04]【連載 TÚ SOLO TÚ #204】グラミー賞ベスト・ラテン・ロック・アーバン・ オア・オルタナティヴ・アルバム部門 イレがソロ・アルバムで見事受賞

文●岡本郁生  今月は、去る2月12日に発表された今年のグラミー賞で「ベスト・ラテン・ロック・アーバン・オア・オルタナティヴ・アルバム」を受賞したiLe(イレ)をご紹介しよう。  それにしても長ったらしい名前のこのカテゴリー、いったい何なのか? もともとは、1990年代半ばの“ロック・エン・エスパニョール”の盛り上がりを受けて1998年に創設された「ラテン・ロック/オルタナティヴ」というカテゴリーである。その直後の2000年にラテン・グラミーが始まり本家のグラミーにおける

[2017.04]島々百景 #14 サウダーヂ

文と写真:宮沢和史  ポルトガル語で言うところの「Saudade~サウダーヂ」という言葉はなかなか翻訳しづらい感情で、僕自身100%理解しているか自信はないが、説明する時には「もう戻れないかもしれない場所への郷愁。二度と手元に戻らないかもしれない物、会えないかもしれない者への愛惜の思い」そんな風に表現するようにしている。英語の単語で言おうとするとこれがなお難しい。ジョアン・ジルベルトのデビュー曲でアントニオ・カルロス・ジョビンの名作〝Chega de Saudade〟は英語

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[2017.04]ダニエル・ファラスカ・インタビュー〜現代のタンゴ・シーン最高のコントラバス奏者

文●青木菜穂子 —— ファラスカさんの家は音楽一家だとうかがっています。ベースを始めたきっかけやご家族についてお聞かせください。 ダニエル・ファラスカ サンタフェ州にある生家では音楽家の父親の影響でいろいろな曲が流れていて、小さな頃から家族で歌い演奏し日々の生活の中で音楽を楽しんでいた。ある時姉のロサンナがプロ歌手として契約したのをきっかけにブエノスアイレスへ移り、兄はピアノ、私はエレキベースで仕事するようになったんだ。

[2017.04]映画「ぼくと魔法の言葉たち」で世界を魅了した ロジャー・ロス・ウィリアムズ監督にインタビュー

文●圷 滋夫  写真©2016 A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved. アウトサイダーに目を向ける感受性を持ち続けていたい初監督作品『Music by Prudence』(10)で黒人初のオスカー受賞者(短編ドキュメンタリー賞)となったロジャー・ロス・ウィリアムズの最新作「ぼくと魔法の言葉たち」は、ノミネートを含めれば全世界で40近い映画賞の栄誉に輝いている。自閉症によって2歳で言葉を失ったオーウェン・サスカイン

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[2017.04]ブイカ・ライヴ・レポート 全く別の姿を見せてくれた衝撃の2日間

文●圷 滋夫   写真撮影●石田昌隆  2008年の初来日の後、09年と13年にラテン・グラミー賞を受賞し、多彩なゲストを迎えた15年のアルバム『Vivir Sin Miedo』も大好評だったブイカが、遂に待望の再来日を果たした。

[2017.04]旅する楽団の音楽大冒険〜映画「ヨーヨー・マと旅するシルクロード」が示す理想の世界

文●圷 滋夫  アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞、グラミー賞最優秀音楽映画賞他、数多くの映画賞に輝いた傑作「バックコーラスの歌姫たち」をはじめ、常に優れた音楽ドキュメンタリー作品を送り出してきた監督モーガン・ネヴィルの新作は、2000年にヨーヨー・マによって結成された異色の音楽集団シルクロード・アンサンブル(NHKのドキュメンタリー「新シルクロード」の音楽として知っている方も多いだろう)に迫った作品だ。もちろんヨーヨーの生い立ちや天才ゆえの苦悩も描かれ、まだ7歳のチェロの

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[2017.04]ケイシー・コスタ、 ヤマンドゥ・コスタに会う

ブラジル、ベレン生まれのシンガーソングライター、ケイシー・コスタが、ブラジルが生んだ「世紀の天才ギタリスト」に会いに行きました。 文●ケイシー・コスタ —— 私にとって、ヤマンドゥ・コスタは技術面でブラジル、ナンバーワンのギタリストだと思っていて、今回日本で、お話を伺うことができてとても光栄です。私は自分で作曲する時、インスピレーションを大事にしているんですが、ヤマンドゥさんの場合はどうしているんですか? ヤマンドゥ・コスタ  僕は普段からテーマを探している。例えば楽しみ

[2017.04]宮野弘紀 × ルーラ・ガルヴォン 円熟味を増す2人のギターの名手によるデュオ

文●浅羽 晃  侘び寂びとサウダージが出会い、静謐な情景を描いた快作『アダージョ』から9年、ギタリストの宮野弘紀がブラジルの名手、ルーラ・ガルヴォンと再び組んで『アダージェット』をリリースした。音を愛おしむように紡いでいく親密なデュオ演奏は前作同様であり、チェロのジャキス・モレレンバウムをゲストに招くという新味もある。  カエターノ・ヴェローゾ、ホーザ・パッソス、ギンガといった錚々たる音楽家をサポートするギタリスト/アレンジャーのガルヴォンを宮野が知ったのは20年ほど前。

[2017.04]米田真希子〜興隆するサンパウロの器楽音楽シーン その第一線で活動する日本人女性ピアニスト

文●花田勝暁  米田さんの名前は、今年の初め、ブラジルの音楽評論家のブログで目にした。サンパウロで活動する日本人女性ピアニスト「米田真希子」が、一時帰国するというので、取材を申し込んだところ、とても近しい接点があった。 ▲米田真希子 プロフィール ■4歳よりピアノを始め、絶対音感を身につける。数々のクラシック大会で入賞。一時音楽とは離れ、国際公務員になるべく、筑波大学、名古屋大学大学院で国際関係を学び、在学中、インドを中心にアジア各国を単身でまわった。しかし、大学院時代

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[2017.04]デイヴ・ヴァレンティン、逝く April.29, 1952−March.8. 2017

 サウス・ブロンクス生まれ、フュージョン〜ラテン・ジャズ〜サルサを横断し、多彩なシーンで活躍したフルート奏者デイヴ・ヴァレンティンが3月8日に亡くなった。12年と15年に脳梗塞になり、パーキンソン病とも闘っていた。享年64。 文●山本幸洋  7歳にしてコンガとボンゴを始め、13歳で地元のバンドのティンバーレス奏者になった。よくある話かもしれない。でも、同じ学校に通う女の子と知り合いになりたくてフルートを借りて(この発想に脱帽!)、ラテンも取り込んだ独自のラテン・ジャズで知

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