世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2017.11]【第9回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】カンツォーネ・ブームと日本語詞

[2017.11]【第9回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】カンツォーネ・ブームと日本語詞

文● 二宮大輔 ジリオラ・チンクエッティ  カンツォーネばかりがイタリアじゃないと啖呵を切って始めたこのコラムだが、これにはカンツォーネに代表されるようなステレオタイプなイタリアのイメージを壊して、別角度からイタリアの深層に迫ろうという志の表れであって、カンツォーネを批判するつもりはまったくない。だが、そもそもイタリアと言えばカンツォーネという固定したイメージが出来上がるほどに、往年のイタリアの歌謡曲が日本で人気を博したのは、どういうわけだろう。60年代のカンツォーネ・ブ

[2018.04]【第11回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】スフィアンからザローネまで現代イタリア映画音楽事情

[2018.04]【第11回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】スフィアンからザローネまで現代イタリア映画音楽事情

文● 二宮大輔 『君の名前で僕を呼んで』 ※4月27日 TOHOシネマズ シャンテ 他全国ロードショー ©Frenesy, La Cinefacture  今年4月に日本でも公開予定のアメリカ映画『君の名前で僕を呼んで』(Call me by your name)の音楽を、神秘的な楽曲が人気のSSWスフィアン・スティーヴンスが担当したということで、大いに注目を集めている。避暑のため北イタリアに来た17才の少年が、大学教授である父の教え子の男性に出会い恋をするというあらすじ

[2017.02]【第10回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】エリオ・エ・レ・ストーリエ・テーゼでひも解くイタリアの笑い

[2017.02]【第10回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】エリオ・エ・レ・ストーリエ・テーゼでひも解くイタリアの笑い

文● 二宮大輔 エリオ・エ・レ・ストーリエ・テーゼのライヴ 「日本のお笑いはレベルが高い」という話をたまに聞くけれど、本当にそうだろうか。そもそも比較できるほど日本で各国のお笑いが知られているとは思えないし、それ以前に笑いとはその国の文化や歴史に深く根差したものであり、比較そのものが不可能という話もある。それでも「レベルが高い」と誇れるほど、自信を持ってお笑いが理解できているのは羨ましいかぎりだ。イタリア語を勉強していて、私に立ちはだかったのが、まさしくこの笑いの壁だっ

[2017.08]【第7回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】Roma incontra il mondoヴィッラ・アーダの奇妙な夏祭り

[2017.08]【第7回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】Roma incontra il mondoヴィッラ・アーダの奇妙な夏祭り

文● 二宮大輔 ヴィッラ・アーダの小島 「夏は夜」という枕草子の定説は万国共通なのかもしれない。ローマでも夏は夜が格別だ。昼間の日差しの暑さをほのかに残す石畳に、涼しい夜風が吹き抜ける。ジェラートやかき氷を食べながら、川沿いを散歩する。イベントも盛りだくさんで、例えば野外上映会。この時期、雨の少ないローマでは、野外にスクリーンを設置して特別プログラムを実施することが多い。そして同じような感覚で野外にステージを組んでライヴも行われている。夏休みに、何日間もかけて緩やかに続

[2017.10]【第8回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】イタリアのサザンは自撮りで夏を制す
タカギ・エ・ケトラ 「セルフィー軍団」

[2017.10]【第8回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】イタリアのサザンは自撮りで夏を制す タカギ・エ・ケトラ 「セルフィー軍団」

文● 二宮大輔 タカギ・エ・ケトラ(Takagi & Ketra)  いま私は大変なバブル期にある。記事も書くし翻訳もするけれど、夏期はなんといってもバカンスで日本に来るイタリア人観光客のためのガイドや電話対応をするのが、私の主な仕事となる。この観光客が、現在うなぎのぼりに増えており、日本政府観光局の発表によると、2016年の訪日イタリア人は前年比15%増の11万9000人。今年はさらなる増加が見込まれている。  そんなイタリア人観光客が日本に来る一つの目的は、写真を撮

[2017.07]【第6回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】クラッシュ・キッド、ピオッタ、プリモ・ブラウン
高架下のヒップホップ文化

[2017.07]【第6回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】クラッシュ・キッド、ピオッタ、プリモ・ブラウン 高架下のヒップホップ文化

文● 二宮大輔  トラステヴェレ駅の高架下に大好きな落書きがあった。  地下鉄の車両、店のシャッター、ビルの壁、ローマにはいたるところに落書きがある。いちばん多いのは「ラツィオのクソ野郎」や「人種差別反対」など、特定のサッカーチームの悪口や社会的なメッセージをスプレー缶で走り書きしたもの。もう一つは、もっと本格的なフォントで、ヒップホップのアーティストやグループの名前を描いた巨大なロゴマークのようなもの。さらに、1910年のメキシコ革命を発祥とするムラーレスと呼ばれる壁画

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[2017.06]【第5回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】The Winstons:
ウィンストンズとかわむらぐん

[2017.06]【第5回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】The Winstons: ウィンストンズとかわむらぐん

文● 二宮大輔  初めてぐんさんに会ったのは、もう5年以上前のことだ。彼はKAWAMURA Gunの名義でローマを中心に活動する日本人ミュージシャンで、私とは在伊日本人ミュージシャンという共通項から、フェイスブックを通して知り合った。本文では、敬意と親しみを込めて彼を「さん」付けで呼ばせてもらう。  さて、まず目を引いたのがその独特の見た目だった。待ち合わせ場所のピニェート通りに颯爽と現れた彼は、長身に腰まであるまっすぐ伸びた黒髪、柄シャツにベルボトムのズボンといういでた

[2017.05]【第4回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】Lo stato sociale
(ロ・スタート・ソチャーレ):
ボローニャ独立系
ミュージシャンの叫び

[2017.05]【第4回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】Lo stato sociale (ロ・スタート・ソチャーレ): ボローニャ独立系 ミュージシャンの叫び

文● 二宮大輔  ボローニャという町をご存じだろうか?  イタリア北部エミリア=ロマーニャ州に位置する都市で、ヨーロッパ最古の大学があることで知られている。ミートソースのパスタのことを「ボロネーゼ」と呼ぶが、これはつまりボローニャ発祥のパスタという意味。第二次大戦後は共産党の活動が盛んだった土地で、政治的なテロの起こった「鉛の時代」の終焉1980年には、ボローニャ駅が爆破され85人の一般人の命が奪われた。そんな政治と文化の中心地ボローニャは、今でも学生の町という性格が強く

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[2017.04]【第3回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】ルドヴィコ・エイナウディ:
ピアニストの宇宙

[2017.04]【第3回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】ルドヴィコ・エイナウディ: ピアニストの宇宙

文● 二宮大輔 Ludovico Einaudi  私の行きつけの喫茶店では、地元京都のミュージシャンのCDが店内BGMとしてかかっている。中でも人気は、インディーズのロックバンドでキーボードを担当しているYatchiのソロ・アルバム「Metto Piano」だ。ピアノやキーボードの一発録音で構成されたこのCDをかけると、一見客からも「これは誰の曲ですか?」と尋ねられることがよくあると喫茶店のマスターが言っていた。アルバムの題名は「目とピアノ」をイタリア語風に言い換えたも

[2017.02]【第1回
カンツォーネばかりがイタリアじゃない】ヴィットリオ広場のオーケストラ:
移民たちの稀有な表現活動

[2017.02]【第1回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】ヴィットリオ広場のオーケストラ: 移民たちの稀有な表現活動

文● 二宮大輔  イタリア留学中に最も衝撃を受けたのは、老婆がゴミ箱の中に転落する場面だった。私が住んでいたローマの町外れのさらに外れにジプシーのバラックがあり、そこから交通の便が良いため、我が家の近くにもジプシーたちがゴミ箱を漁りに来ていた。ローマでは、幅2メートル、高さ1メートル50はあろうかという巨大なゴミ箱が各所に配置されており、近隣住民がそこにゴミを捨て、夜間にトラックが収集して回る。日にち指定もないため、不要な家具や衣類まで気軽に捨てられている。それを狙って家財