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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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#ラティーナ2017年10月号

[2017.10]特集:これからの「ワールド・ミュージック」〜松山晋也の選ぶ「俺のワールド・ミュージック」

本号の「ワールド・ミュージック」を考える鼎談に参加していただいた高橋健太郎氏、松山晋也氏、吉本秀純氏の3氏に、ご自身が「ワールド・ミュージック」と考えている音楽の中から、近年の優れた作品を紹介してもらいました。 選・文●松山晋也 ① Irma Osno『Taki - Ayacucho』(2017年、ペルー) ●ペルーのアンデス山中のアヤクーチョ地方で生まれ育ち今は秩父で暮らすイルマ・オスノがケチュア語で伝承曲を歌った本作は強烈な純血性を誇示しつつ、同時にユニヴァーサルな

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[2017.10]【短期連載】 The Latin Music is a Tramp! #3 エディ・パルミエリ

文●山本幸洋  2016年11月9日、胸騒ぎで仕事が手につかなかった午後を今もときどき思い出す。移民が建国したUSAが、移民に対し不寛容になりつつあるという現実! キューバの音楽やダンス文化がニューヨークで独自に進化してサルサと呼ばれるようになり、アメリカ大陸およびカリブ海諸国、特にスペイン語圏の国々で人気のある音楽となった背景には、キューバやプエルト・リコからニューヨーク〜USAへやってきたミュージシャンを含む移民の暮らしがある。そして、彼らの音楽に夢中になりプロのミュー

[2017.10]連載 太平洋の向こう岸からの手紙 #5 『クリチバへの旅』

文●フアン・フェルミン・フェラリス  これまでのところ、この連載は私の街での音楽的な出会いについてのものでした。今回もそこまで違ったものではありません。というのはラ・プラタで知り合い共に生きている人々の話だから。3年前、クリバスとナディスのように私たちは共に学び、演奏し、働き、プロジェクトを共有していました。写真で見るなら(右から)マキシミリアーノ・カスティージョ、フアン・クルス・セラサ、フアン・イグナシオ・スエイロ、ディエゴ・アメリセ、バレンティノ・サンパオリ、マティアス

[2017.10]風を奏でる音楽家のダイアリー #04 Terra Una

文●ジョアナ・ケイロス  私にとっての魔法の場所、テーハ・ウナ*。近くの谷間にあるソニアの滝に行く。マテウスが案内してくれた場所。  何時間も、何日も、二週間にわたりたくさんの音、自分の、他人の、音楽、人、録音に囲まれて、心の平穏と静寂が訪れる。  この景色に浸っていたい。  いつまでもここにいたい。  今日、空は曇っていて、とっても静か。鳥のさえずりもほとんど聞こえない。ここからは、滝から落ちる水の音だけが聞こえて、山々に覆われ見えなくなるほどの地平しか見えない。

[2017.10]【連載 ラ米乱反射 #138】革命は対米対等化のための唯一の方策 初来日のカミーロ・ゲバラに訊く

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  革命家エルネスト・チェ・ゲバラ(1928~67)の長男カミーロ・ゲバラ=マルチ(55)が2017年7月から8月にかけて初来日した。チェ・ゲバラ歿後50周年(2017年10月9日)に合わせて封切られる日玖合作映画『エルネスト』(阪本順治監督、オダギリジョー主演、キノフィルムズ)の関連行事として8月9~27日、東京・恵比寿で開かれた写真展「写真家チェ・ゲバラが見た世界」の開場式に出席したり、メディアの取材に応じたりするためだった。6日には広島平

[2017.10]【連載 TÚ SOLO TÚ #210】ニューヨーク・ラテン界の7人が奏でるストリートのサウンド アルトゥーロ・オルティス

文●岡本郁生  もう30年になるのか……。1987年12月のウィリー・コロン来日公演は、いまだに鮮烈に記憶の中に刻みつけられている。  コンサート自体ももちろんそうなのだが、筆者にとってもっとも印象的だったのは、イラストレーターの河村要助さんに誘われて見に行ったサウンド・チェックである。  新宿・歌舞伎町。いまはゴジラが乗っかった巨大ビルとなってしまった同じ場所にかつてあったのが、数々の名物公演で知られた新宿コマ劇場だ。その地下1階にあったシアターアプル。たしか午後4時

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[2017.10]島々百景 #20 韓国・済州島

文と写真:宮沢和史  沖縄県の与那国島から台湾は近い。距離にしたら100㎞強だろうか、台湾は高い山が多いから、年に何回か晴天の日には島から台湾が見えるという。与那国島から沖縄本島の那覇までの距離のおよそ5分の1。与那国島から東京間はなんとその20倍の距離。日本からもっとも近い外国と言えばロシアで、北海道の稚内の北端〝宗谷岬〟からロシアのサハリン島の最南端までの距離は43㎞しかない。(例えるならば東京~横須賀間程度)ロシアとアメリカは西と東の両巨頭というイメージを持つが、実は

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[2017.10]【第8回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】イタリアのサザンは自撮りで夏を制す タカギ・エ・ケトラ 「セルフィー軍団」

文● 二宮大輔 タカギ・エ・ケトラ(Takagi & Ketra)  いま私は大変なバブル期にある。記事も書くし翻訳もするけれど、夏期はなんといってもバカンスで日本に来るイタリア人観光客のためのガイドや電話対応をするのが、私の主な仕事となる。この観光客が、現在うなぎのぼりに増えており、日本政府観光局の発表によると、2016年の訪日イタリア人は前年比15%増の11万9000人。今年はさらなる増加が見込まれている。  そんなイタリア人観光客が日本に来る一つの目的は、写真を撮

[2017.10]評判のダンサー、アゴスティーナと若き日系三世の天才アクセルが世界選手権制覇!

文●本田大典/写真●本田健治  タンゴダンス世界選手権ステージ部門決勝翌日、日本人とサンティアゲーニャが優勝というタイトルが朝刊にどんと出た! そうだ! 8,000人が見守る舞台で優勝を決めたのは、アゴスティーナ&アクセルだった。  今年で第15回目を迎えたタンゴダンス世界選手権。8月は町中がタンゴ一色に染まるのが毎年恒例となっている。今年も世界中からこの世界最大のタンゴの祭典、タンゴ・ブエノスアイレスに参加するため、世界中から観光客がこの街へと足を運んだ。今年は例年より

[2017.10]アマリアに導かれるようにファド歌手になった女性歌手〜カルラ・ピレス来日

文●花田勝暁  再興するポルトガルの音楽「ファド」のシーンから、アマリア・ロドリゲスに導かれるようにファド歌手になり、最実力派の中の一人と注目されてきた女性歌手のカルラ・ピレスが来日し、10月末から約一ヶ月全国ツアーを行う。  カルラ・ピレスは、1993年にテレビ局の歌手オーディション番組に出演したことをきっかけに歌手デビューした。当時、女優と並行して行っていた歌手活動ではファドではなくポップスを中心に歌っていた。転機となったのは、アマリア・ロドリゲスの死から3年後の20

[2017.10]ア・イングレナージェン ─ ブラジリア発のインスト新世代到来 ─

文●宮ヶ迫 ナンシー理沙  カート・ローゼンウィンケルのバンドで来日した世界が注目する若手ギタリストのペドロ・マルチンスが、同世代の音楽家で是非聴いて欲しいと紹介した「A Engrenagem(ア・イングレナージェン)」。 フェリピ・ヴィエガス(key, pf.)、フィリピ・トガワ(pf.)、エンヒッキ・アルヴィン(gt.)、ペドロ・ミランダ(ba.)、ヘナート・ガルヴァォン(dr.)、皆ブラジリア出身の五人組。  首都ブラジリアを拠点に活動している彼らにまだあまり知ら

[2017.10]笹久保 伸 『ギター』─ 多重録音なし、アナログテープ音質に拘り原点であるギター演奏に絞った27作目 ─

文●徳永 伸一郎  ペルーから帰国した笹久保伸がCD「翼の種子」で国内盤デビューを果たし、シーンに衝撃を与えたのは2012年のことだ。以降も、高橋悠治、藤倉大ら現代音楽作曲家とのコラボレーション、またリカルド・モヤーノ、ヤマンドゥ・コスタら来日ギタリストとの共演といった演奏活動はもちろん、アーティスト集団「秩父前衛派」としての映画製作や瀬戸内国際芸術祭への出品、写真家として写真集の発売等々、次々と新しい話題を提供。このほど、ギタリストとしての原点回帰とも言うべき新作『Gu

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[2017.10]ノルデスチの雌獅子 ─ エルバ・ハマーリョが来日 ─

文●宮ヶ迫 ナンシー理沙  6月は、ブラジルではフェスタ・ジュニーナ(その起源については、ここでは割愛するが、いわば収穫祭のような祭りのこと)の季節。ノルデスチ(北東部)で特に盛大に祝われ、〝ノルデスチの雌獅子〟の異名をもつエルバは、この1ヶ月間ほとんど毎日各地のフェスタに登場し、超多忙な日々を過ごした。そして、ほとんど休む間もなく、今年12回目をむかえ夏の恒例となった在日ブラジル商工会議所が主催するブラジルフェスティバルにそのアツ〜い風を運んでやってきた。そのエネルギーと

[2017.10]映画公開を前にエミール・クストリッツァが率いるザ・ノー・スモーキング・オーケストラが来日公演

文と写真●松山晋也  エミール・クストリッツァ&ザ・ノー・スモーキング・オーケストラ(以下NSO)の一日だけの日本公演(9月2日、Zepp Tokyo)を観た。これは、クストリッツァの監督作品『オン・ザ・ミルキー・ロード』が9月15日から全国公開されるのを記念して急遽開催されたものだ。クストリッツァをギタリストに戴くこのバンドの日本でのコンサートは08年の初来日公演以来9年ぶりであり、更に『オン・ザ・ミルキー・ロード』も監督作品としては『マラドーナ』以来9年ぶりということも