マガジンのカバー画像

世界の音楽情報誌「ラティーナ」

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活を世界中の多様な音楽で彩るために、これか… もっと読む
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てア… もっと詳しく
¥900 / 月
運営しているクリエイター

#風を奏でる音楽家のダイアリー

[2018.10]風を奏でる音楽家のダイアリー #14 出会い

文●ジョアナ・ケイロス  人生において、まるでシナリオが書かれていたかのような出会いというものがある…… それは進む方向をがらりと変えられてしまう類の出会いで、それが偶然の産物であると信じがたいことがある。磁石のような力がはたらいて引き寄せあい、それは神秘的で、私たちのちっぽけな哲学では説明がつかない。  ときに私たちにインスピレーションを与え、励まされる人との出会いがあったり、またときに知識を共有してくれて私たちの能力を引き出してくれる出会いがあったりする。それから、こ

スキ
1

[2018.11]風を奏でる音楽家のダイアリー #15 悲しみのなかで抵抗する☆

文●ジョアナ・ケイロス  私たちはいま、驚くほど混沌とした時代を生きている。特にブラジルにおいては。先日の大統領選で極右の候補者が危うく当選しそうになるという驚くべき結果が出てしまった。どういう理由で大勢の有権者の有力候補なってしまったのかよく理解ができないし、覚悟はしていたけれど、このような脅威的な勢いで現実的に彼が当選するような事態は想定していなかった。  彼に対する支持率の増加は暴力の増加を意味し、逆行的な立場の復活を意味する。特にこの雑誌の読者に(私も含め)親しま

[2018.12]風を奏でる音楽家のダイアリー #16 女性アーティストへの敬意

文●ジョアナ・ケイロス  この文章では、音楽と私の関係において、たくさんインスピレーションを受けている多くの女性アーティストたちへの気持ちを書き留めておきたい。

[2019.02]風を奏でる音楽家のダイアリー #18 詩

文●ジョアナ・ケイロス よく晴れた日 あふれんばかりの自然 色、味、音、香り 活気にあふれた日常 あらゆる方向に伸びて広がる 輝き 夏

[2019.07]風を奏でる音楽家のダイアリー #23 記憶

文●ジョアナ・ケイロス  何を書こうかなとアイディアが浮かばないまま、悩んでいたら、編集部から、先日公開したミュージックビデオ「Memórias (記憶) 」 について書いたらと提案をもらった。  一つのテーマに対して、幾重にも層がある。私たちはどれだけの記憶を、身体に、そして脳に記録できるのだろう。その記憶は、読んだり、思い返したり、再創造したり、さまざまな方法で手繰り寄せられる。

[2019.08]風を奏でる音楽家のダイアリー #24(最終回) 旅

文●ジョアナ・ケイロス  この文章は、偉大な女性歌手、ヴィルジニア・ホドリゲスのコンサートで演奏するため、ベルリンへ向かう列車のなかで書いています。今回は、ヴィルジニアが女性作曲家ばかりの曲を集めた、美しく仕上がった新作のリリースライヴ。それぞれに異なる世界観、演奏法、表現がある、いろいろなプロジェクトに参加することが私は好きです。

[2019.06]風を奏でる音楽家のダイアリー #22 音楽

文●ジョアナ・ケイロス  困難に見舞われて、体制を整えなければいけないとき、アートの治癒力というのは本当に大きい。あたたく包み込み、養ってくれる愛の群島にたどり着きたいときに、それを手伝ってくれる。とても親密な場所で他者とつながり、繊細で、深い他者とのコミュニケーションを実現させる。

[2019.05]風を奏でる音楽家のダイアリー #21 人生の奇妙さと不完全さを受け入れて

文●ジョアナ・ケイロス 漂流する船 内面的な変革 すべてのものごとのエッセンスに存在する混沌 そのなかにある奇妙な優先順位は理解できない けど受け入れる

[2019.04]風を奏でる音楽家のダイアリー #20 カーニヴァルを終えて

文●ジョアナ・ケイロス  新たな学びを通して、異なる性質の芸術の間や、人生におけるさまざまな側面に類似点があることに気がつくことは驚くべきことです。私は合気道を原点とし、植芝先生の内弟子にあたる野呂先生がフランスで発展させた氣之道という格闘技を習っています。氣之道はその起源となった武道の原理と深く関わり、心身の発達を促してくれる方法のひとつだと思っています。

スキ
2

[2019.03]風を奏でる音楽家のダイアリー #19 今日、音楽家で居続けること

文●ジョアナ・ケイロス  今日、作品を広く人々に知ってもらうためのツールが様々にあり、同時に複数の人とコミュニケーションがとれたり、地球上のあらゆる場所にいる人たちと連絡がとれたり、新しく生まれる音楽を知ることができたり、新しいコラボレーションもできる。従来の広報手段に頼り、自分の作品が新聞などで紹介されなければほぼ人々に知られることがなかった何十年か前と比べれば、ポジティブな側面がある。マスメディアに取り上げられなくても、地球上のさまざまな場所に一定数のファンがいるグルー

[2019.01]風を奏でる音楽家のダイアリー #17 インストゥルメンタル音楽の魅力

文●ジョアナ・ケイロス   12月の半ばにさしかかったいま、この文章を書いているところ。次号はもう年が明けてしまうから、みなさん、よき2019年をおむかえください! ブラジルの状況はとても複雑です。でも頑張って耐えています。芸術活動はより活発に、そして若い世代の才能ある人たちがどんどんと加わることでより一層その確固とした強さが増していると感じます。このわずかな灯火を絶やすことなく、世代から世代へとその豊かを伝えていく音楽の力は、すごいです。

[2018.07]風を奏でる音楽家のダイアリー #12 川のほとりのダイアリー(後編)

文●ジョアナ・ケイロス  アルゼンチンへ行く前にアギーレとメールでやりとりをしていたら、彼から私に何曲か歌ったらと提案があった。「En la Frontera」を挙げてくれた。歌うことは大好きだけど、〝歌い手〟という自覚はない。(克服しようと努めているところだけど)技術的な制約も感じるし。それに、ある種の恥ずかしさもある。でも彼が背中を押してくれたので、歌うことにした。ホーザ・パッソスの「Outono」と、「Não vou pra Casa」は彼がさっと美しいギターアレンジ

[2018.08]風を奏でる音楽家のダイアリー #13 音楽の世界における女性の存在

文●ジョアナ・ケイロス  私の音楽人生における青春時代、常に女性も男性も同等に入り混じっていたグループに所属する幸運に恵まれた。一番長く属したイチベレ・オルケストラ・ファミリアも、人数構成はいつも自然とバランスがとれていた。だから、私にとって女性がこの世界で活躍することは「普通」のことだった。ある種の音楽スタイル、また楽器演奏において女性がいないこと、あるいはまたコンポーザーやアレンジャー、プロデューサー、指揮、インプロヴィゼーションなどの分野に女性がいないことはずっとその

[2018.06]風を奏でる音楽家のダイアリー #11 川のほとりのダイアリー(前編)

文 ● ジョアナ・ケイロス  パラナーには悲しみのなか到着した。熱を出して、体調を崩していた。出発前に起きた個人的な出来事によって、心の不調が身体にも現れてしまった。クアルタベーの新作録音の準備、出発直前のライヴ、発熱したまま緊張続きの日々だった。時間通りに着いたけど、ブエノスアイレスからパラナー行きの最終のバスに間に合うかドキドキしながらの旅だった。パラナー川のほとりの町にはぐったり疲れて、悲しい気持ちをぬぐえないまま到着した。ルイス・バルビエロが朝バスターミナルに迎えに