世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2021.05]岸和田 仁【特集 私の好きなブラジル映画】

[2021.05]岸和田 仁【特集 私の好きなブラジル映画】

選・文●岸和田 仁 本エントリーは、5/26(水)からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。  シネマ・ノーヴォにコミットした映画人の戦列に最若年者として参加したのがカカー・ヂエゲスであったが、1999年の月刊誌記事で「僕は世界を考えている映画人だ。僕は君たちが土曜日の夜にでもヒマを潰すための映画を作るのではない」と語っていた。初来日した同監督に、筆者が直接インタビューした時(2003年)も、「今も僕の考えは変わっていない。世界のこともブラ

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[2008.09]ゼリア・ガタイ 文豪の妻として、また遅咲きの飾らない文豪として生きた91年間[連載 Relatório do Brasil ❸]

[2008.09]ゼリア・ガタイ 文豪の妻として、また遅咲きの飾らない文豪として生きた91年間[連載 Relatório do Brasil ❸]

文●岸和田仁 texto por HITOSHI KISHIWADA  5月17日、作家ゼリア・ガタイがなくなった。享年91歳。文豪ジョルジ・アマード(1912〜2001)の夫人であったが、63歳でデビューした遅咲きの作家としては回顧的エッセイや児童文学を主体に16冊の作品を残している。このブラジル文学アカデミー会員作家の遺骸は遺志に従い火葬され、その遺灰は夫と同じくサルヴァドールの自宅の庭にあるマンゴ樹の下に埋められた。 「ジョルジは天国で、文字通り諸手を挙げて彼女を

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[2020.12]岸和田 仁【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

[2020.12]岸和田 仁【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●岸和田 仁 アンデス教養旅行 『アンデス教養旅行』(寺田和夫著、東大出版会、1962年)

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[2018.03]水声社「ブラジル現代文学コレクション」~多様なブラジル文学の再発見~

[2018.03]水声社「ブラジル現代文学コレクション」~多様なブラジル文学の再発見~

文●岸和田 仁 texto por HITOSHI KISHIWADA  昨年10月に第一巻が刊行された、水声社版「ブラジル現代文学コレクション」のラインアップを列記すると、 ❶『エルドラードの孤児』 ミウトン・ハトゥン 武田千香訳 ❷『老練な船乗りたち』 ジョルジ・アマード 高橋都彦訳 ❸『家宝』 ズウミーラ・ヒベイロ・タヴァーリス  武田千香訳 ④『最初の物語』 ジョアン・ギマランイス・ホーザ 高橋都彦訳 ⑤『あけましておめでとう』 フーベン・フォンセッカ 江

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[2019.12]ジョアン・ジルベルトの財産問題
~法的係争とファミリーの内紛~

[2019.12]ジョアン・ジルベルトの財産問題 ~法的係争とファミリーの内紛~

文●岸和田 仁 text by HITOSHI KISHIWADA ジョアン・ジルベルトのファミリー関係  ジョアンの結婚(&離婚)は3回(見方によっては4回)なので、まずはジョアンの家族関係をおさえておこう。  最初の夫人は、言うまでもなく、『イパネマの娘』の歌姫となったアストラッド・ジルベルト。ボサノヴァの米国における大ヒットを共同演出したテナー・サキソフォン奏者スタン・ゲッツと〝秘められた恋〟を交わすことになって、彼女との結婚生活は1959年から1964年までの

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[2018.06]ブラジル映画界の巨匠 ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス、死去

[2018.06]ブラジル映画界の巨匠 ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス、死去

文●岸和田 仁 texto por HITOSHI KISHIWADA  巨匠ネルソン・ペレイラ・ドス・サントスが、4月21日、永眠した。享年89歳。死因は肝臓ガンによる多臓器不全であった。  同日夕方のTVニュース番組ジョルナル・ナシオナルは、放送時間の3分の1以上費やして詳しく報道し、ブラジルの主要新聞も翌22日特集で追悼記事を掲載していた。欧米主要紙(ニューヨークタイムズ、ザ・ガーディアンなど)でも「シネマ・ノーヴォの父」について深みのある長文追悼記事が掲載されてい

[2017.06]セアラーからラテンアメリカへ〜哲人歌手ベルキオール死す

[2017.06]セアラーからラテンアメリカへ〜哲人歌手ベルキオール死す

文●岸和田 仁  セアラ州ソブラル市。州都フォルタレーザから西南方向へ約240㎞のところに位置する内陸中堅都市だ。  物理学の歴史をかじった人なら、このソブラルが「物理学の革命」に寄与したことはご存じだろう。1919年、アフリカのプリンシペ島とブラジルのソブラルの2か所で英国科学観測隊によって行われた皆既日食観察の結果、アインシュタインの一般相対性理論の正しさが裏付けられたのだから。ソブラル市の中心に、アインシュタインの顔写真を埋め込んだ記念碑が建っているのも、この「大