世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2019.04]平成のワールドミュージック ③平成11年〜平成15年

[2019.04]平成のワールドミュージック ③平成11年〜平成15年

●平成11年(1999年) ◆ヌスラットの生涯を凝縮したような遺作 『ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン/スワン・ソング』  97年5月4日に地元パキスタンで収録された2枚組のライヴ盤。結果的にこれが、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンのファイナル・パフォーマンスとなり遺作となった。ヌスラットは、元々はスーフィズムを広めるための音楽だったカッワーリーを独自の意識で発展させていた。この日は、前半はハーモニウムとタブラを使うオーセンティックな編成のカッワーリーを演奏し、後半にな

[2019.04]平成のワールドミュージック ②平成6年〜平成10年

[2019.04]平成のワールドミュージック ②平成6年〜平成10年

●平成6年(1994年) ◆弾ける明るさに心洗われる最高傑作 『りんけんバンド/ゴンゴン』  照屋林賢率いるりんけんバンドは、沖縄の言葉と伝統的な音楽性をベースにした現代的なサウンドで、多くの人に沖縄音楽のすばらしさを教えてくれた。佳曲は数多いが、アルバムとしては林賢の作曲、サウンド・クリエイトの力量がフルに発揮されたこのアルバムが最高傑作だろう。ジャケットに作品が使われている版画家の名嘉睦稔が作詞した「海とぅ島」や桑江良奎作詞の「あやふに」などから、沖縄の大自然が目の

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[2018.10]ラテン塾は続く

[2018.10]ラテン塾は続く

文●田中勝則 text by KATSUNORI TANAKA  長年NHKラジオでラテン音楽の番組を担当されてきた竹村淳さんが主宰する「ラテン音楽パラダイス塾」がスタートしたのが2009年。それが今年の6月23日で第100回を迎えた。場所はここ数年ホーム・グラウンドにしている東京・目黒のカフェ・イ・リブロス。会がはじまった当初からパートナーを務める高橋研二さんももちろん健在だ。ご両人とも昨年80歳のお祝いをしたそうだから、今年は合計で162歳! ますます元気にラテン音楽を

[2018.07]ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ ★ アディオス

[2018.07]ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ ★ アディオス

文●田中勝則 text by KATSUNORI TANAKA  時間が経過するのは早いものだ。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のCDが発売されたのが1997年だから、もう20年以上が過ぎようとしている。  イギリスのインディー・レーベルであるワールド・サーキットにとってはじめての海外レコーディングになったのが、96年に制作されたこのアルバムだった。ワールド・サーキットの社長であるニック・ゴールドはこのとき、若い頃からあこがれていたライ・クーダーをプロデューサーに迎え

[2019.04]パンチョ・アマートに訊く
キューバ音楽のこと

[2019.04]パンチョ・アマートに訊く キューバ音楽のこと

文●田中勝則/写真●宮ヶ迫ナンシー理沙 text by KATSUNORI TANAKA / photos by NANCI LISSA MIYAGASAKO  まるで高校野球のような一生懸命さ。パンチョ・アマート楽団の来日公演を一言で表せば、そういうことになるのだろうか。とうに還暦を過ぎたパンチョ自身を別にすれば、メンバーのほとんどは若手。それが最初から最後までまったく手を抜くことなく、お客さんに喜んでもらうために懸命に演奏する。そもそも彼らがやっている「ソン」という音楽

[2017.09]「中村とうよう 音楽評論家の時代」を執筆した田中勝則氏に訊く

[2017.09]「中村とうよう 音楽評論家の時代」を執筆した田中勝則氏に訊く

文●松山晋也  衝撃の自死(2011年7月21日)からの7回忌に合わせるように上梓された「中村とうよう 音楽評論家の時代」。生涯にわたる著作物や監修レコード類などの資料も網羅したこの大著(全585ページ)は、人間・中村とうようの人生の軌跡をたどりながら、音楽評論家という仕事の在り方や可能性までも考察した異色の評伝だ。著者である音楽評論家/プロデューサーの田中勝則氏は、生前のとうよう氏と最も密につきあった一人であり、この本は彼だからこそ書けたと言っていい。上梓に至る経緯や思い