世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2019.07]ブラジルフィールドワーク #14
奴隷制度の記憶を刻む場所
リオデジャネイロ港湾地区

[2019.07]ブラジルフィールドワーク #14 奴隷制度の記憶を刻む場所 リオデジャネイロ港湾地区

文・写真●下郷さとみ text & photos by SATOMI SHIMOGO  リオデジャネイロ都心の港湾地区に、ブラジルにかつてあった奴隷制度の記憶を刻む場所がある。近年になって発掘された遺跡は、リオの新たな観光ポイントとして整備が進められてきた。  ブラジルは世界で最も遅くまで奴隷制度が続いた国だ。奴隷の輸入が禁止されたのが1883年。奴隷解放令が出されたのは1888年。長く続いたこの非人道的な制度は、131年たった今もブラジル社会に濃い影を落としている。たと

[2019.07]【連載 TÚ SOLO TÚ #230】追悼 日本サルサの草分け的存在
イラストレーター 河村要助

[2019.07]【連載 TÚ SOLO TÚ #230】追悼 日本サルサの草分け的存在 イラストレーター 河村要助

文●岡本郁生  死ぬときは別。  言葉の意味はわかっているつもりだったが、その痛みを実感する日がこんなにも早く訪れようとは思わなかった。  日本を代表するイラストレーターであり、1970年代の初頭からサルサという音楽を先頭に立って紹介してきた張本人、素晴らしい文章で我々を未知の世界へといざなってくれた天才、河村要助が75歳であの世へ旅立ってしまったのである。  1970年代の頃の河村要助  河村要助という名前を最初に意識したのは高校生のとき、ニッカの「黒の、50」と

[2019.07]【連載】タンゴのうた 詩から見るタンゴの世界 第18回 下り坂(クエスタ・アバホ)

[2019.07]【連載】タンゴのうた 詩から見るタンゴの世界 第18回 下り坂(クエスタ・アバホ)

文●西村秀人 text by HIDETO NISHIMURA 今年もまた6月24日がやってくる。今から84年前の1935年のその日、コロンビア・メデジン空港を離陸したばかりの飛行機が墜落、南米巡業中のカルロス・ガルデル一行が命を落とした(伴奏ギタリストの一人ホセ・マリア・アギラールだけがかろうじて助かった)。カルロス・ガルデルはその美声と歌のうまさのみならず、「わが懐かしのブエノスアイレス」「場末のメロディ」「想いのとどく日」「閉ざされし瞳」などの名曲の作者としても知られ

[2019.07]風を奏でる音楽家のダイアリー #23 記憶

[2019.07]風を奏でる音楽家のダイアリー #23 記憶

文●ジョアナ・ケイロス  何を書こうかなとアイディアが浮かばないまま、悩んでいたら、編集部から、先日公開したミュージックビデオ「Memórias (記憶) 」 について書いたらと提案をもらった。  一つのテーマに対して、幾重にも層がある。私たちはどれだけの記憶を、身体に、そして脳に記録できるのだろう。その記憶は、読んだり、思い返したり、再創造したり、さまざまな方法で手繰り寄せられる。

[2019.07]ミナス音楽を聴こう!〜ミナス新世代が選ぶ新旧の名曲(後編)

[2019.07]ミナス音楽を聴こう!〜ミナス新世代が選ぶ新旧の名曲(後編)

◆KRISTOFF SILVA Adeus do Ator | Pablo Castro  紹介したい人は何人かいますが、同世代の人となると、迷うことなく輝くこのコンポーザーを挙げたいと思います。Pablo Castro。決してわかりやすくないハーモニーの上に、印象的なメロディを作り出す才能は、彼のトレードマークです。Pabloは、ブラジル音楽の伝統のなかですでにクラシックと呼んでいい曲に焦点をあてて作曲していますが、それでいて独自のハーモニーとメロディラインを生み出す

2
[2019.07]ミナス音楽を聴こう!〜ミナス新世代が選ぶ新旧の名曲(前編)

[2019.07]ミナス音楽を聴こう!〜ミナス新世代が選ぶ新旧の名曲(前編)

 ミルトン・ナシメント、ロー・ボルジェス、トニーニョ・オルタなどを輩出した1960年代末の「クルビ・ダ・エスキーナ」。その再来として現代のミナスジェライス州の音楽シーンが注目され、本誌でもそのシーンで活躍するアーティストを取り上げ、2014年5月号に新世代ミナス音楽を特集しました。「21世紀のクルビ・ダ・エスキーナ、その現代性と肥沃さを聴く」その特集の続編として、今回はその主人公たちに直接、新旧の名作について聞くことができました。  一人一人がとても丁寧に回答を送ってくれま

[2019.07]ミナス新世代が選んだ名曲が収録されているアルバム

[2019.07]ミナス新世代が選んだ名曲が収録されているアルバム

Milton Nascimento & Lô Borges『Clube Da Esquina』(1972年)

1
[2019.07]ますますおもしろいブラジル音楽新世代 MINAS GERAES

[2019.07]ますますおもしろいブラジル音楽新世代 MINAS GERAES

選・文●花田勝暁(編集部)  ミルトン・ナシメント、ロー・ボルジェス、トニーニョ・オルタらを輩出した1960年代末の「クルビ・ダ・エスキーナ」。その再来として現代のミナス・ジェライス州の音楽シーンが注目されている。本誌でも、2014年5月号で、「ミナス新世代」の特集を行なった。  それから3年ほどたち、再び「ミナス新世代」が多方面から大きな注目を浴びているが、同特集号が売り切れで紹介できないことにもどかしさを感じていたことも、本号で新世代ブラジル音楽のシーンをまとめて紹介

[2019.07]ミナスの歌声セルジオ・サントス 〜キャリア初のカバー集『São Bonitas as Canções』
アンドレ・メマーリのプロデュースによるワールドクラスの名作誕生

[2019.07]ミナスの歌声セルジオ・サントス 〜キャリア初のカバー集『São Bonitas as Canções』 アンドレ・メマーリのプロデュースによるワールドクラスの名作誕生

文●TOYONO  ミナス出身のSSWセルジオ・サントス。パウロ・セーザル・ピニェイロとコンビを組んだデビュー作にして名盤『Aboio』((1995)より着実にキャリアを重ね、また彼の持つ世界感にミュージシャンからのラブコールも多い素晴らしいアーティストである。  深淵な雰囲気が美しいアートワークの彼の新作が届いた。今作はギターを弾かず歌声に徹したキャリア初のカバー集。自身の曲作りにおいて影響を受けてきたリスペクタブルなブラジル楽曲を採り上げているが、結果的に「ブラジル音

1
[2019.07]アンドレ・メマーリとミナスの絆 クルビ・ダ・エスキーナをオマージュした新作
『Na Esquina do Clube Com o Sol na Cabeça』

[2019.07]アンドレ・メマーリとミナスの絆 クルビ・ダ・エスキーナをオマージュした新作 『Na Esquina do Clube Com o Sol na Cabeça』

文●宮ヶ迫ナンシー理沙 text by NANCI LISSA MIYAGASAKO  ピアニスト、作編曲家/ プロデューサーとしてマルチに活躍し、多作で、コラボレーションも多いアンドレ・メマーリ。最新作は、ファンのサポートを得て制作された。ブラジルの宝物のようなクルビ・ダ・エスキーナの名曲たちが、メマーリ流にアレンジされた新しい装いで、生まれ変わっている。新作のこと、ミナスの音楽家たちのつながりについてきいた。 ▼ ── クルビ・ダ・エスキーナの曲ばかりを集めたアルバ