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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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#ラティーナ2018年8月号

[2018.08]特集:日本の新しい室内楽2018 〜日本の新しい室内楽35選

選・文●花田勝暁  ジャンルを超越した幅広い音楽的造詣とテクニックを持つ音楽家たちが、多様な編成のグループで、オリジナルで自由な音楽を追求し、それぞれのアンサンブルを深化/進化させ、東京から新しい室内楽的アンサンブルを生んでいる──  約3年ぶりの「日本の新しい室内楽」の特集です。この間も東京の器楽系シーンで、美しいアンサンブルが紡がれてきました。 「南米音楽を経験した日本人による新しい音楽」(2014年9月号)、「日本の新しい室内楽」(2015年9月号)に続く特集と

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[2018.08]ブラジルフィールドワーク #03 ファヴェーラ ボランティア時代の思い出

文・写真●下郷さとみ text & photos by SATOMI SHIMOGO  私のブラジルとの付き合いは1992年から2年ちょっとの間、サンパウロ市郊外のファヴェーラに住み込んで働いた時から始まる。ボランティア時代は、しばしば日本からの見学者を案内した。そうこうするうちに、だんだんうんざり思えてきたのが、こんな言葉だった。 「なぜファヴェーラの子どもたちの瞳はこんなに輝いているの?」「それに引きかえ日本の子どもたちは」「日本は豊かになって心の豊かさを失ってしまっ

[2018.08]島々百景 #30 南大東島

文と写真:宮沢和史  この連載の二回目で南大東島のことを取り上げた。その時は琉球弧の沖縄本島、宮古、八重山の民謡を記録しアーカイブ化するプロジェクトで来島した時のことを書いた。録音エンジニアの東江厚史氏とともに初来島し、内里美香、ボロジノ娘、大東人、等の歌を録音させていただいた。サンゴ礁が隆起してできたこの島はよく茶筒に例えられるように島の表面は真っ平ら、というか実は島のへりの部分が高く島の中心部が凹んでいるという稀有な形状をしている。そして、へりからズドンと落ちる断崖絶壁

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[2018.08]【連載】タンゴのうた 詩から見るタンゴの世界 第7回 酔いどれたち(ロス・マレアドス)

文●西村秀人 text by HIDETO NISHIMURA  タンゴの名歌曲の中には、一度発表されたのちに、別の詩人によって新たな詩がつき広く知られるようになった曲がいくつかある。現在もさかんに演奏され、歌われている名曲「ロス・マレアドス」(酔いどれたち)もそうしたタンゴの一つである。 Roberto Diaz  Los dopados(1922年)  1922年、劇作家だったラウル・ドブラスとアルベルト・ウェイスバックは自らの劇作品「ロス・ドパドス」Los dop

[2018.08]【連載 TÚ SOLO TÚ #220】キューバから自由の国、米国へと亡命してきた 才能溢れる音楽家、アルトゥーロ・サンドバル

文●岡本郁生 「キューバの貧困の中に生まれ、政府によって抑圧され、彼はその才能を世界と共有するためにすべてを危険にさらしました。ここ数十年間、この素晴らしいトランペッター/ピアニスト/コンポーザーは、世界中の観客たちを刺激し続け、若い世代の偉大な演奏家たちを目覚めさせてきたのです。彼は最高の演奏家であり続けています」  2013年、当時のオバマ大統領は、「大統領自由勲章(Presidencial Medal of Freedom)」をアルトゥーロ・サンドバルに贈ったとき

[2018.08]風を奏でる音楽家のダイアリー #13 音楽の世界における女性の存在

文●ジョアナ・ケイロス  私の音楽人生における青春時代、常に女性も男性も同等に入り混じっていたグループに所属する幸運に恵まれた。一番長く属したイチベレ・オルケストラ・ファミリアも、人数構成はいつも自然とバランスがとれていた。だから、私にとって女性がこの世界で活躍することは「普通」のことだった。ある種の音楽スタイル、また楽器演奏において女性がいないこと、あるいはまたコンポーザーやアレンジャー、プロデューサー、指揮、インプロヴィゼーションなどの分野に女性がいないことはずっとその

[2018.08]連載 太平洋の向こう岸からの手紙 #14 『ルイス・カロ』

文●フアン・フェルミン・フェラリス  音楽家、文筆家、俳優、曲芸師、詩人、商人、これらすべてがルイス・カロを定義できるものです。ですがより当てはまるのが労動者という言葉です。そして全ての労働者の様に未来の方へ目を向け、夢想家へ変わり、日常の観察者、労働者の詩人になりました。その人柄はピクサーが大きなテーマとして描くことが出来、ダリのような美しい口髭、コミカルで寛容な見た目があります。たとえ全てのプロフィールがボヘミアンの様でも、ルイスは紙から飛び出す様な作品を創り出す人に思

[2018.08]特集:日本の新しい室内楽2018 対談 石若駿×ブライアン・ブレイド

文●編集部 text by LATINA  世界最高峰のドラマーとしてウェイン・ショーターやジョニ・ミッチェルとの活動で知られるブライアン・ブレイド。彼はフェローシップという自身のグループなどでも確かな評価を得るソングライターでもある。対するは若くして日本を代表するドラマーになりつつある石若駿。彼もまた自身のグループ Songbook Trioで新たな魅力を発揮したソングライターでもある。そんな2人の対談が興味深くないはずがない。 ▼ 石若駿 以前駅のホームで偶然出会っ

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[2018.08]特集:日本の新しい室内楽2018 佐藤浩一 〜現在、最も注目すべき 若手日本人ジャズピアニスト

文●徳永伸一郎 text by SHIN-ICHIRO TOKUNAGA  現在最も注目すべき若手日本人ジャズピアニストとして、佐藤浩一を挙げる人は少なくないのではないか。橋爪亮督グループ、rabbitooといった先鋭的なバンドへの参加はもちろんのこと、本田竹広、菊地雅章らレジェンド級ピアニストを支えたドラマー本田珠也をリーダーとする ICTUS TRIO に抜擢された事実も見逃せない。2016年にはユニークな6人編成による優れたリーダーアルバム『メランコリー・オブ・ア・ジ

[2018.08]特集:日本の新しい室内楽2018 オーランドー 林正樹×鈴木広志×相川瞳

文●松山晋也 text by SHINYA MATSUYAMA  アルバム『オーランドー』は、昨秋上演されて評判を呼んだ演劇「オーランドー」(原作:ヴァージニア・ウルフ、演出:白井晃)のサウンドトラック作品である。「オーランドー」は音楽家3人が俳優たちと同じ舞台上で生演奏する、一種の音楽劇的作品で、このCDは劇伴音楽を改めてスタジオで録音したものである。演奏者は、作曲とピアノ担当の林正樹、本職のサックスの他フルートやクラリネットも吹く鈴木広志、そしてヴィブラフォン他各種パー

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[2018.08]特集:日本の新しい室内楽2018 haruka nakamura PIANO ENSEMBLE〜『光』へと結実したharuka nakamuraのアンサンブル

文●石郷岡 学 text by MANABU ISHIGOOKA 『grace』、『twilight』、『MELODICA』の3枚のソロ・アルバムをリリースした後、haruka nakamuraが取り組んだのが、室内楽的編成によるharuka nakamura PIANO ENSEMBLE(以下アンサンブル)である。最近作『光』でその活動はフィナーレを迎えたが、彼の活動の一つの頂点を捉えたこのアンサンブルについて振り返っていただいた。 ▼

[2018.08]特集:日本の新しい室内楽2018 tricolor の新形態? tricolor BIGBAND!!! 〜日本で進化するアイリッシュ音楽の最高地点を示すラージアンサンブル

文●おおしまゆたか text by YUTAKA OSHIMA  わが国のアイリッシュ系の演奏活動の近年の盛り上がりは多彩な形に展開されているが、総勢十三名のミュージシャンが集まった「ビッグバンド」は空前である。こういう企画を tricolor がやる、というのがまず新鮮だ。かれらはむしろ、背伸びしない、自然な流儀のバンドだったからだ。どうしてこんなことを思いついたのだろうか。 tricolorの3名。左から中村大史、中藤有花、長尾晃司 ▼

[2018.08]特集:ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブと 受け継がれるキューバ音楽の遺伝子 特別対談 ダーリン.saeko × Yacel Sagarra

文●太田亜紀 text by AKI OTA  ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(以下BVSC)の映画が日本で公開されてから18年。この夏、その続編が『BVSC★アディオス』として帰ってくる。音楽プロデューサー、ニック・ゴールドとフアン・デ・マルコスの語りに導かれ、すでにその多くが故人となったあの老ミュージシャンたちに再びスポットが当てられる。音楽シーンから身を引いていたイブライム・フェレールが再び呼び出されるまでのストーリー。オマーラ・ポルトゥオンドとフェレールが共演する

[2018.08]特集:ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブと 受け継がれるキューバ音楽の遺伝子 INTERACTIVO ROBERTO CARCASES interview

文●太田亜紀 text by AKI OTA  今世紀初めにキューバ音楽シーンに衝撃の登場を遂げたインタラクティーヴォ(※)が遂にこの夏、キューバからフジロックフェスティバル出演のために初来日を果たす。サルサ、ティンバ、ファンク、ポップ、ロック、ヒップホップ、アフロキューバン、国内外の様々なリズムや要素をふんだんに盛り込んで、ルーツを色濃く感じさせつつも枠にとらわれず、グルーブ感に溢れたカラフルなサウンドはとにかく聴く者を驚かせ、楽しませてくれる。 (※注:同グループは、