世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2019.03]ミロンゲーロス
〜ブエノスアイレス 黄金のリズム
映画〜老ミロンゲーロたちの貴重な証言
監督インタビュー

[2019.03]ミロンゲーロス 〜ブエノスアイレス 黄金のリズム 映画〜老ミロンゲーロたちの貴重な証言 監督インタビュー

文●本田 健治 text by Kenji Honda 「ミロンゲーロなんてもういないよ。いなくなりつつあるんだよ。」というビクトル・ロメロの言葉と共にこの映画は始まる。続いて「今、技術的にはよくなっているよ…それは認めないと…間違いなくね。でもテクニックばかりが先行して心が欠けているね」というルイス・ビルトゥアーニの言葉…。  本誌先月号で天野さんが紹介した映画「ミロンゲーロス」。この映画についてはいろんな意見を聞いてきた。しかし、基本的にはあのアルゼンチンで、この

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[2019.03]【連載】タンゴのうた 詩から見るタンゴの世界 第14回 最終列車まで

[2019.03]【連載】タンゴのうた 詩から見るタンゴの世界 第14回 最終列車まで

文●西村秀人 text by HIDETO NISHIMURA 今年(2019年)はアストル・ピアソラ作曲=オラシオ・フェレール作詞の名コンビによる大ヒット曲「ロコへのバラード」(Balada para un loco)が発表されて50年という記念の年にあたる。この「ロコへのバラード」大ヒットの発端となったのは、あるコンクールで2位に入賞したことだった。実はそのコンクールで1位になった別のタンゴがある。  作詞者はフリオ・カミローニ。1911年イタリア中部のアンコーナ生ま

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[2019.03]【連載 TÚ SOLO TÚ #226】ニューヨーク・ラテンとフュージョン音楽

[2019.03]【連載 TÚ SOLO TÚ #226】ニューヨーク・ラテンとフュージョン音楽

文●岡本郁生  1948年、アルゼンチンでバンドネオン奏者の子供として生まれたホルヘ・ダルトは5歳からピアノを習い、69年、米国に移住。ティト・プエンテやマチート、ガト・バルビエリらの楽団で活動するが、同時に、ジョージ・ベンソンのバンド・メンバーとして、76年、大ヒット・アルバム『ブリージン』に参加する。ベンソンはそれまでもヴァーヴやCTIレーベルなどからアルバムをリリースし、ジャズ・ギタリストとして一定の評価を得ていたが、この作品によってグラミー賞「最優秀インストゥルメン

[2019.03]ブラジルフィールドワーク #10 
先住民族に寄り添う人、 
アンジェラ・パピアーニ

[2019.03]ブラジルフィールドワーク #10 先住民族に寄り添う人、 アンジェラ・パピアーニ

文・写真●下郷さとみ text & photos by SATOMI SHIMOGO  アンジェラ・パピアーニ。先住民族の伝統文化保持の活動を40年に渡って続けてきた人。現在は「Ikore」という団体を立ち上げて、民族の伝説や歴史を村人から聞き取り、それを民族言語とポルトガル語で本や音声記録にまとめるという活動に主に取り組んでいる。  2008年の「東京の夏・音楽祭」でアンジェラのコーディネートによりカラジャ民族が伝統儀式の唄と踊りを披露した際には、私も少しお手伝いをした

[2019.03]島々百景 #37 山梨県・甲府市

[2019.03]島々百景 #37 山梨県・甲府市

文と写真:宮沢和史  生みの親というのは自分で選択することができない。オギャー! とこの世に生まれ出ずる10ヶ月も前にすでに決定してしまってる。選択という意味では、生まれ故郷にも同じことが言える。誕生の時点で出生地を選択する権利は本人には無い。そういう意味では親と故郷はほぼ同じ概念として人に刷り込まれるのではないだろうか? 親というものが意識として判別できる頃になると自分がどのような空間で生きているのか、がぼんやり分かってくる。社会や地域という枠組みの中にいることを自覚する

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[2019.03]風を奏でる音楽家のダイアリー #19 今日、音楽家で居続けること

[2019.03]風を奏でる音楽家のダイアリー #19 今日、音楽家で居続けること

文●ジョアナ・ケイロス  今日、作品を広く人々に知ってもらうためのツールが様々にあり、同時に複数の人とコミュニケーションがとれたり、地球上のあらゆる場所にいる人たちと連絡がとれたり、新しく生まれる音楽を知ることができたり、新しいコラボレーションもできる。従来の広報手段に頼り、自分の作品が新聞などで紹介されなければほぼ人々に知られることがなかった何十年か前と比べれば、ポジティブな側面がある。マスメディアに取り上げられなくても、地球上のさまざまな場所に一定数のファンがいるグルー

[2019.03]ハバナ竜巻被災者救援チャリティ・コンサート
ルイス・バジェを中心に
キューバ人ミュージシャンが団結

[2019.03]ハバナ竜巻被災者救援チャリティ・コンサート ルイス・バジェを中心に キューバ人ミュージシャンが団結

文●斉藤真紀子 text by MAKIKO SAITO  竜巻で被災した、キューバの人びとを支援したい。そんな思いが集まって、夢の共演が実現した。 「私たちに何かできることはない?」キューバ出身のミュージシャン、ルイス・バジェのもとに、仲間から次々とメッセージが集まったのは、1月27日にキューバの首都ハバナの住宅地を竜巻が襲ったすぐ後のことだった。ルイス・バジェの実家も、被災地域のすぐそばにある。  樹木がなぎ倒され、建物が損壊した近所の状況を、家族が撮影して送っ

[2019.03]音の建築士
Leandro César

[2019.03]音の建築士 Leandro César

文●宮ヶ迫ナンシー理沙 text by NANCI LISSA MIYAGASAKO  ミナスの創作楽器集団「UAKTI(ウアクチ)」の正統なる後継者と呼ばれ、ミナスの若手作曲家たちの中心のひとりであるイレーニ・ベルタシーニの音楽的なパートナーとしても活躍するレアンドロ・セーザル。イレーニとのデュオ名義でリリースした『REVOADA』(2017) が高い評価を受け、パッケージなどのジャケットアートが木製で見た目にも印象的な初のソロ作『MARIMBAIA』(2018) もその

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[2019.03]歌い遊ぶ沖縄の生命賛歌〜
『登川誠仁&知名定男ライブ!』を聴く

[2019.03]歌い遊ぶ沖縄の生命賛歌〜 『登川誠仁&知名定男ライブ!』を聴く

文●松村 洋 text by HIROSHI MATSUMURA  戦後の沖縄民謡界を支えた巨人のひとり、セイグヮーこと登川誠仁(1932〜2013)が、東京・青山CAYのステージで歌った。サポート役は12歳から登川家に住み込み、民謡修行の日々を過ごした知名定男である。2001年9月5日、登川は満68歳、知名は満56歳。18年前のこの何とも楽しいステージが、先ごろ2時間超の2枚組CD『登川誠仁&知名定男ライブ!〜ゆんたくと唄遊び〜』となってよみがえった。  振り返れば、

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[2019.03]映像は踊る 3本のドキュメンタリー映画
『セメントの記憶』『あまねき旋律』『盆唄』に観る、
それぞれの“ダンス”について。

[2019.03]映像は踊る 3本のドキュメンタリー映画 『セメントの記憶』『あまねき旋律』『盆唄』に観る、 それぞれの“ダンス”について。

文●圷 滋夫 text by SHIGEO AKUTSU  映画は、映像と音で構成される。その音には台詞や環境音、音楽などが含まれ、中には音楽がとても豊かで重要な役割を果たす作品がある。ここで紹介する3本のドキュメンタリーもそんな作品で、いずれも〝ダンス〟を感じさせる内容だが、そのアプローチについてはそれぞれ全く違う方法が採られている。 『セメントの記憶』© 2017 Bidayyat for Audiovisual Arts, BASIS BERLIN Filmprod