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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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#ラティーナ2019年8月号

[2019.08]【連載 TÚ SOLO TÚ #231】マーク・アンソニーの新譜『OPUS』に注目!

文●岡本郁生  マーク・アンソニーの最新アルバムが素敵だ。『3.0』以来6年ぶりとなる『オパス』。オープニングの「パレセン・ビエルネス」からラストの「レコノスコ」まで全10曲、まさにこれぞマーク・アンソニー! マークそのものであり、マーク以外のなにものでもない。彼ならではの世界が存分に展開され、美しく、しなやかで、しっかりと地に足がついた素晴らしい作品に仕上がっている。その世界観は、1993年のデビュー・アルバム『オトラ・ノタ』から寸分も変わっていない。サルサ界ではほぼ無名

[2019.08]【連載】タンゴのうた 詩から見るタンゴの世界 第19回 1945年/マゴージャ

文●西村秀人 text by HIDETO NISHIMURA マリア・エレーナ・ワルシュ...タンゴ・ファンにはなじみの薄い名前だろう。20歳過ぎでフォルクローレの女性デュオを結成し、欧州で成功、その後児童向けの演劇や音楽で著名になり、1960年代後半には当時の社会を反映した大人のための新しい歌を作り続けた。今回紹介するのはそんな彼女の異色作、珍しくタンゴの形式を使った2曲である。  作者マリア・エレーナ・ワルシュは1930年生まれなので、実際に1945年に15歳だった

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[2019.08]ブラジルフィールドワーク #15 ブラジルに名前を与えた木 リオデジャネイロ植物園

文・写真●下郷さとみ text & photos by SATOMI SHIMOGO  リオデジャネイロで好きな場所のひとつが植物園だ。コルコバードの丘の上の展望台から見下ろすと、キリスト像の広げた右手の斜め後ろ方向に植物園の濃い緑が広がるのが見える。広大な敷地は面積140ヘクタールにもおよび、そのうち3分の2が森林保護区、残り54ヘクタールで世界の6500種の植物が植栽・展示されている。ブラジルの独立以前の1808年にポルトガル王室によって開設された。  展示エリアはゾ

[2019.08]島々百景 #41 波照間島

文と写真:宮沢和史  日本本島の海を知らない内陸地で生まれ育った自分にしてみたら、〝島に暮らす〟ということは人生最大の夢であり、いつか叶えてみたい究極の理想である。そんなに重く考えなくても、今の時代島の生活を成し得ることはそれほど難しいことではないだろう。書店には島巡りに特化した雑誌が刊行されているし、島への移住をサポートする雑誌や特集も時々目にする。(このたび書籍化され発売された宮沢のこの『島々百景』もそのひとつかもしれない──)しかし、残りの人生の拠点を島に置くとするな

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[2019.08]風を奏でる音楽家のダイアリー #24(最終回) 旅

文●ジョアナ・ケイロス  この文章は、偉大な女性歌手、ヴィルジニア・ホドリゲスのコンサートで演奏するため、ベルリンへ向かう列車のなかで書いています。今回は、ヴィルジニアが女性作曲家ばかりの曲を集めた、美しく仕上がった新作のリリースライヴ。それぞれに異なる世界観、演奏法、表現がある、いろいろなプロジェクトに参加することが私は好きです。

[2019.08]ネルソン・ゴンサーレス 〜サルサは死なない、永遠に〜

文●山本幸洋 text by TAKAHIRO YAMAMOTO  岡本郁生さんの連載〝TÚ SOLO TÚ〟で紹介されていたが、昨18年のエディ・パルミエーリの新録は『Full Circle』『Mi Luz Mayor』の2タイトル。17年7月の来日時点ではビッグ・バンドで新作レコーディングをしているとのことだったが、それが11月に出た『Mi Luz〜』であり、それに先駆けて8月に『Full〜』がでた。『Full〜』は現行メンバーでの主要ライヴ・レパートリーであり、演奏の

[2019.08]サカキマンゴー 〜ビンテ・クライ! (頭に来た!) 日本が世界に誇る親指ピアノ奏者、6年ぶりのフル・アルバムでモノ申す

文●松山晋也 text by SHINYA MATSUYAMA  日本が世界に誇る親指ピアノ奏者サカキマンゴーがニュー・アルバム『ビンテ・クライ・ベイベー』を発表した。多国籍ユニットのクアトロ・ミニマルによる『ラ・コラ・デル・ドラゴン』から4年、ソロ名義作品としては『カライモ・リンバ』から6年ぶりだ。  今作は演奏も歌もプログラミングを含む編曲もすべて一人で手掛けた完全ソロ・ワークということもあり、演奏家/作曲家としてのサカキマンゴーの全体像がこれまでになくクリアに打ち出

[2019.08]映画『存在のない子供たち』

文●圷 滋夫 Shigeo Akutsu  昨年のカンヌ国際映画祭審査員賞受賞作。冒頭から言葉の鋭さが 胸をザワつかせる。まだ12歳の主人公ゼインは「クソ野郎を刺した」罪で収監中だが、「僕を産んだ罪で両親を訴える」という衝撃的な理由で今、法廷に立っている。   映画はまず手錠をかけられたゼインとエチオピア移民の黒人女性ラヒルを映し出すが、二人が出会うのは物語の中盤だ。そして裁判の進行を少しずつ点描するのと並行して、ゼインがなぜ両親を憎むようになり、ラヒルとどんな関係を築い

[2019.08]映画『ジョアン・ジルベルトを探して』

文●圷 滋夫 text by SHIGEO AKUTSU  7月7日、七夕の日の午前中に、ジョアン・ジルベルトが亡くなったことを知った。その数日前、娘のベベウが4年前に投稿したインスタグラムの2ショット写真を目にした時は、元気そうではあるが驚くほどやせ細ったジョアンの姿に動揺していた。そんなこともあり、なんとなくどこかで覚悟はしていたはずなのに、実際にそうなってしまうと、なんとも言葉では言い表す事の出来ない感情で胸が一杯になった。そして数日後、YouTubeに上がっていた葬

[2019.08]追悼:ジョアン・ジルベルト 奇跡の8ヶ月、 あるいは 海や花や風に到達するための合理的な方法

文●岸 政彦 text by MASAHIKO KISHI プロフィール●社会学者・作家 立命館大学教授。社会学、沖縄研究、生活史などが専門。主な著書に『同化と他者化──戦後沖縄の本土就職者たち』『街の人生』『断片的なものの社会学』(紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞)『ビニール傘』(第156回芥川賞候補・第30回三島賞候補)『マンゴーと手榴弾──生活史の理論』『図書室』(第32回三島賞候補)など  1952年に歌手として最初のレコードを出してから鳴かず飛ばずで、1955年

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[2019.08]追悼:ジョアン・ジルベルト

文●伊藤ゴロー text by GORO ITO  7月7日、ジョアン・ジルベルトの訃報に接した。  ジョビンに続き、ボサノヴァの創始者で、僕にとっての音楽の師がいなくなってしまった。  先日リリースされた 『João Gilberto LIVE IN TOKYO Special Blu-ray BOX』に僕はこれを寄稿したばかりだった。 《 『三月の水』  ジョアンが探し当てた音楽の全てがここにあると思っている。僕にとって大切な作品で、クラシックギターを手に取るき

[2019.08]追悼:ジョアン・ジルベルト "Melhor que o silêncio, só João."

■カエターノ・ヴェローゾによる追悼コメント(カエターノ・ヴェローゾ Facebookより)

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[2019.08]ブラジルの名曲30選

選・文●編集部 ブラジルのメディア/書籍の名曲選を参考にしながら、編集部で30曲選びました。 A Flor e o EspinhoNelson Cavaquinho, Guilherme de Brito e Alcides Caminha  邦題は「花と棘」。発表当時はまったく人々が見向きもしなかったサンバ曲が、8年後の1965年にエリゼッチ・カルドーゾが歌ったことで大ヒット。「道から君の笑顔を取り除えてくれ/苦痛とともに私が通るから」と死と人生の悲劇に対する絶え間な

[2019.08]あのTOM ZÉ が 日本にやってくる!?

文●國安真奈 text by MANA KUNIYASU  トロピカーリア(トロピカリズモ)を振り返る時、誰もが気づくのは、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、ガル・コスタ以外の「関係者」は、今なお日本ではあまり知られないままでいることだ。だが、そのあまり知られていない人たちのうちでも大物中の大物、トン・ゼーの来日がこのたび決定した。  あのトン・ゼーが。一報を聞いて、まず頭に浮かんだのは、何年か前にリオで観たステージだ。楽曲と風刺劇が一体になったような演出で、こと