世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2020.02]ブラジルフィールドワーク #21
環境正義と環境レイシズム

[2020.02]ブラジルフィールドワーク #21 環境正義と環境レイシズム

世界で森が燃えている  森が燃えている。昨年6月は北極圏のアラスカ、シベリアで。8月はアマゾンが燃え始め、9月には東南アジアのボルネオ島やスマトラ島でも。10〜11月にはカリフォルニアが。そして9月にオーストラリアで始まった森林火災は年が明けてもまだなお、炎が収まる兆しがない。乾期の森林火災はオーストラリアでは自然現象のひとつだとはいえ、例年にない規模で拡大し続けている。  世界中で頻発し大規模化する森林火災の背景にあるのは、大気の高温化と乾燥化だ。火元の原因が自然発火では

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[2020.02]【連載 TÚ SOLO TÚ #237】 トニー・スッカル
〜これからのサルサのあるべき姿〜

[2020.02]【連載 TÚ SOLO TÚ #237】 トニー・スッカル 〜これからのサルサのあるべき姿〜

文●岡本郁生  昨年11月に発表された「第20回ラテン・グラミー」。エディ・パルミエリの渾身の1枚『ルス・マジョール』もノミネートされた〈最優秀サルサ・アルバム〉部門において、その栄誉に輝いたのは、トニー・スッカルの『マス・デ・ミ』であった。  トニー・スッカルといえば、2015年、マイケル・ジャクソンのヒット曲をサルサでカバーしたアルバム『ユニティ:ザ・ラテン・トリビュート・トゥ・マイケル・ジャクソン』で一躍大きな注目を集めることになった人。マイアミを拠点に活躍するプロ

[2020.02]日本ツアーを終えたトン・ゼーへのインタビュー|Confundir Pra Explicar 〜説明するために混乱する
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[2020.02]日本ツアーを終えたトン・ゼーへのインタビュー|Confundir Pra Explicar 〜説明するために混乱する ~

インタビュー・文●ロベルト・マクスウェル Roberto Maxwell  2019年10月31日、御歳83歳のブラジルの奇才トン・ゼーが日本で初の公演を行った。現存するMPB界の巨匠の生演奏を一目見ようとオルタナティブ音楽ファンから長年ブラジル音楽を愛好するファンまで様々な音楽ファンが集った。  待った甲斐があった。疲労した声ではあったが、素晴らしいミュージシャンたちにサポートされ、トン・ゼーはステージ上でひとときも動きを止めることがなかった。それは、精力的に活動を続ける

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[2020.02]ダンスの時代 〜ストリートダンサーが愛した
ワールドビート〜

[2020.02]ダンスの時代 〜ストリートダンサーが愛した ワールドビート〜

選・文●若杉 実 text by MINORU WAKASUGI BABE RUTH『First Base』(Harvest) ■英ロックの変則的な伝統を巧みに踏襲したバンドの1974年ファースト。スパニッシュギター、ジェニー・ハーンの豪傑な歌に圧倒される「The Mexican」が、Bボーイバトルの定番。1978年にディスコ系ボンバーズがカヴァー。1984年、世界的にヒットしたジェリービーンの版はそのボンバーズからインスパイア。バンドは30余年ぶりに新作『Que Pas

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[2020.02]ダンスの時代 ダンサー矢部 良(マイコーりょう) 〜日本に初めてカポエイラを紹介した
ストリートダンサーのもうひとつの素顔〜

[2020.02]ダンスの時代 ダンサー矢部 良(マイコーりょう) 〜日本に初めてカポエイラを紹介した ストリートダンサーのもうひとつの素顔〜

文●若杉 実 text by MINORU WAKASUGI  マイケル・ジャクソンに夢中になったのが小学六年のとき。80年代に入りブレイクダンスに衝撃を受けると、昨日まではふつうに歩いていた路上が舞台になった。以降ストリートダンスの求道者は、やがてカポエイラの洗礼を受け単身ブラジルへと渡る。帰国後、日本初のカポエイラ団体を設立。いっぽうで、マイケル・ジャクソンのインパーソネーター〝マイコーりょう〟の仮面もかぶる。ふたつの人生を並走させてきた矢部良がここに、初めて半生を明か

[2020.02]ダンスの時代 〜世界に広がるダンスの新潮流〜

[2020.02]ダンスの時代 〜世界に広がるダンスの新潮流〜

文●若杉 実 text by MINORU WAKASUGI  〝目に見える魂〟、それがダンスの正体である。魂を見るため、人間は思い思いのダンスをする。知らない者同士が互いに敬意を払い、肩を寄せ合い、知らず知らずダンスはそのように国境を越える。肌の色に違いはあれど、魂の色に違いはない。だから世界はダンスにあふれ、互いに手と手を取り合えるのだろう。  一例として、近年ラテン圏でヒットした楽曲を俎上に載せてみる。 ロサリア「Malamente」 マウロ・カタリーニ「Eu

[2020.02]ダンスの時代 ボリウッドダンス、花盛り 〜日本で広がるボリウッドダンス〜

[2020.02]ダンスの時代 ボリウッドダンス、花盛り 〜日本で広がるボリウッドダンス〜

文●野火杏子 text by KYOKO NOBI  ボリウッドダンスとは、ボリウッド映画の中で踊られているダンスのこと。ボリウッド映画は、多言語国家インドの中の北インドで主に使われているヒンディー語の映画なので、ボリウッドダンスの歌詞もほぼヒンディー語である。  イギリスから映画の撮影技術が入って来た当初(1897)インドでは、記録映画を作成していたようだ。その中には伝統芸能の記録も含まれていたらしい。インドの伝統芸能というのが、歌舞伎のような、歌あり踊りありの長い芝居

[2020.02]ダンスの時代 キューバダンス─  伝統と本質 トレンドへのブレイクスルー  ─

[2020.02]ダンスの時代 キューバダンス─ 伝統と本質 トレンドへのブレイクスルー ─

文●ダーリンSAEKO   text by DARLING SAEKO(写真は全て、筆者が「NATUR ARTE × SOMOS MUCHO MAS HIPHOP PROJECT 」参加の際に撮影したもの)  キューバを代表するダンスと言えば、ダンソン、ソン、マンボ、チャチャチャ、モザンビーケ、ピローンなどのムシカポプラル(大衆音楽)と呼ばれる種類の音楽と共に発展したダンスとバイレ・フォルクロリコ(民族系ダンス)と呼ばれる(主にアフリカをルーツにもつ)サンテリア、アララ、パ

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[2020.02]バネッサ・キロス 14年の時を経て才媛がキンテート・
グランデとともに再来日

[2020.02]バネッサ・キロス 14年の時を経て才媛がキンテート・ グランデとともに再来日

文●西村秀人 text by HIDETO NISHIMURA  これまでカルロス・ラサリ指揮フアン・ダリエンソ楽団、フアンホ・ドミンゲス、ファビオ・ハーゲル&タンゴ・デル・スールらと共に5回の来日を重ね、今回何と14年ぶり6回目の来日を果たす女性歌手バネッサ・キロス。約30年の芸歴を持ちながら、ソロ・アルバムは2007年の1枚のみ。黄金時代を知る偉大な歌手たちに学ぶことの出来た最後の世代ともいえる彼女のタンゴ哲学と、今回の日本公演に向けた抱負を訊いてみた。 ── 子供の

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[2020.02]タリスク EDMトラッド!? スコティッシュ・トラッド・フォークの台風の目

[2020.02]タリスク EDMトラッド!? スコティッシュ・トラッド・フォークの台風の目

文と写真●松山晋也 text & photos by SHINYA MATSUYAMA  昨年暮れの《ケルティック・クリスマス2019》において、爆発的スピード感に貫かれたダンサブルなサウンドで聴衆のド胆を抜いたスコットランドのトラディショナル・フォーク・バンド、タリスク。2014年にグラスゴウで結成された後、『Abyss』(16年)と『ビヨンド』(18年)の2枚のアルバムと圧倒的パフォーマンス力によって英国フォーク・シーンの台風の目となってきた。メンバーはコンサーティーナ