世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2020.12]柳原孝敦【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

[2020.12]柳原孝敦【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●柳原孝敦  ラテンアメリカ関連の本を3冊紹介するよう依頼されたので、ここはぜひとも拙著『テクストとしての都市 メキシコDF』(東京外国語大学出版会、2019)を大々的に宣伝して、とも思ったのだが、どうも古い人間なせいか、自己宣伝ははしたないと思ってしまう。それに、膨大な数の文献の中からたった3冊しか選べないところへ自分のものを位置づけるなどおこがましい。  古い人間といえば、怠け怠けであったとはいえ、30年以上もラテンアメリカ関連の本を読んでいると、自身の人生や歴史

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[2018.10]特集:音楽とラジオとエッセイと 〜フロリディータで会おう

[2018.10]特集:音楽とラジオとエッセイと 〜フロリディータで会おう

文●柳原孝敦  2017年3月に一週間ほどハバナに滞在したときに気になることがあった。五分おきに、というと大げさだが、それだけ頻繁に「チャン・チャン」が耳に入ってきたことだ。言わずとしれた世界的大ヒットアルバム『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』冒頭の一曲だ。旧市街のレストランや酒場などにいると、こっちの店にもあっちの店にも流しの楽団がやってきて演奏を始める。楽団によってレパートリーの違いはあるが、決まって一度は「チャン・チャン」を演奏するのだ。こっちの店に楽団がいなくなる