世界の音楽情報誌「ラティーナ」

[2021.07]【TOKIKOの 地球曼荼羅 ⑫[最終回]】世界中に故郷を持つ国 ─ アメリカ

[2021.07]【TOKIKOの 地球曼荼羅 ⑫[最終回]】世界中に故郷を持つ国 ─ アメリカ

文●加藤登紀子 ※こちらの記事は、7/21からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。 ❶ピート・シーガーの「花はどこへ行った」  この連載の1回目に、何故か私にとって抜き差しならない歌の多くがロシアにゆかりのある歌だというテーマで、「悲しき天使」「花はどこへ行った」のことを書きました。  どちらも英語で歌われて68年ごろ、世界的なヒットソングになった歌です。  「悲しき天使」はジョン・ラスキン作詞作曲とされてきましたが、ロシア革命前後に作

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[2021.06]【TOKIKOの 地球曼荼羅 ⑪】モンスーン、震えるアジア

[2021.06]【TOKIKOの 地球曼荼羅 ⑪】モンスーン、震えるアジア

文●加藤登紀子 ※こちらの記事は、6/16からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。 ❶ 6月の雨、降り続けてる  アジアでの歴史の大きな波がなぜ6月なのか、モンスーンの嵐の中に、民衆の叫びが聞こえてくるようで、「モンスーン」という歌を作詞作曲しました。  「東京、北京、ホーチミン、バンコック、沖縄、マニラ、ヤンゴン...。6月の雨、降り続けてる、過去のページを開けたまま」  忘れがたい歴史の日付け、といえばまず、1989年6月4日、北京

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[2021.05]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑩】5月はパリの物語 ─自由と愛の革命家たち

[2021.05]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑩】5月はパリの物語 ─自由と愛の革命家たち

文●加藤登紀子 本エントリーは、5/19(水)からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。 ❶ ジーナが歌った「さくらんぼの実る頃」 ジーナ(『紅の豚』)  1992年7月18日にロードショーがスタートした『紅の豚』は、今からちょうど100年前の1920年代を描いています。  第一次世界大戦が終わって、たくさんの飛行機乗りが戦死、その苦い思いを胸に、次の時代を夢見る人たちの物語です。  この中でジーナが歌っている挿入歌の「さくらんぼの

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[2021.04]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑨】ベトナム戦下のサイゴンから届いた歌
─ 作曲家、チン・コン・ソン没後20年

[2021.04]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑨】ベトナム戦下のサイゴンから届いた歌 ─ 作曲家、チン・コン・ソン没後20年

文●加藤登紀子 本エントリーは、4/13(火)までは無料でお読みいただけます。4/14(水)からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。  4月1日はベトナムの作曲家、チン・コン・ソンさん(1930 - 2001)の亡くなった日、今年没後20年になります。  一昨年、ホーチミンのオペラハウスで開かれたメモリアルコンサートに私はゲスト出演。素晴らしいベトナムの歌手たちと共に彼の歌を歌ったのです。没後20年の今年は彼の出身地、フエで盛大な野外コン

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[2021.03]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑧】「三文オペラ」が生まれたドイツ黄金の20年代
〜ベルトルト・ブレヒト、クルト・ヴァイルの傑作

[2021.03]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑧】「三文オペラ」が生まれたドイツ黄金の20年代 〜ベルトルト・ブレヒト、クルト・ヴァイルの傑作

文●加藤登紀子  歴史の中で記憶されなければならない、ひとつの日付けがあります。それは1933年2月28日、ヒトラーがドイツ文化の息の根を止めた日。  その日が来るまでの流れは、こうです。  1933年1月30日ヒトラー内閣発足、2日後に議会が解散され、3月5日が総選挙と決められました。2月27日の深夜、何者かが国会に火をつけ炎上。首相ヒトラーと警察権力を握ったゲーリングが共産主義者の犯行と断定。28日、共産党員などを法的手続きなしで逮捕できる大統領令を、ヒンデンブルグ大統

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[2021.02]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑦】フィリピンのスラムから生まれた歌
─フレディー・アギラとの出会い─

[2021.02]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑦】フィリピンのスラムから生まれた歌 ─フレディー・アギラとの出会い─

文●加藤登紀子  1978年9月、私は「アナック ─ 息子」をシングルリリースしました。 「母の胸に抱かれて お前は生まれた よろこびの朝を運んで 寝顔を見つめるだけで 嬉しさが溢れる 父はお前の明日を祈った」(加藤登紀子訳詞)  この歌は、フィリピンのフレディー・アギラが作詞作曲した歌で、フィリピンのタガログ語で作詞されたはじめての大ヒット曲と言われています。 当時のマルコス政権のもと、マルコス夫人の主催したコンクールで優勝を逃し2位だったけど、人気が出たというのです

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[2021.01]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑥】100年前の日本〜Peopleの時代の始まり!

[2021.01]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑥】100年前の日本〜Peopleの時代の始まり!

文●加藤登紀子   新型コロナに揺さぶられた2020年が終わり、新しい年の始まり! 「悪いことは、いいことのために起こる」と言う言葉もあるそうなので、何とか去年の経験を明るい物語に変えるような年にしたいと願って、今回のテーマを「100年前の日本〜Peopleの時代の始まり」とした。  去年、コロナ禍で時ならず100年前のスペイン風邪のことが話題になり、劇作家の島村抱月が1918年(大正7年)11月5日スペイン風邪で亡くなり、その翌年、恋人だった女優の松井須磨子が1月5日の

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[2020.12]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑤】音楽と共に生きるアフリカ

[2020.12]【TOKIKOの 地球曼荼羅⑤】音楽と共に生きるアフリカ

文●加藤登紀子 ①アルバム『Tokiko Sky ─ 蒼空』  ここに大切にしている1枚のアルバムがある。  私が2000年、南アフリカでレコーディングしたアルバム『Tokiko Sky ─蒼空』。  このアルバムの中心メンバー、ベーシストのシブシソ・ヴィクター・マソンド、キーボード奏者テンバ・ムキゼ、ドラムのアイザック・ムチャーリーは、日本にも何度も招き、コンサートツアーやレコーディングをした。本当に素晴らしい音楽家で、かけがえのない友人だ。  そのディテイルは、ゆ

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[2020.11]【TOKIKOの地球曼荼羅④】 ポルトガル、運命のファド 〜ファドを辿る旅〜

[2020.11]【TOKIKOの地球曼荼羅④】 ポルトガル、運命のファド 〜ファドを辿る旅〜

文●加藤登紀子 ① アマリア・ロドリゲスとの出会い  私とファドの出会い、と言えば、ごく当たり前。ファドを代表する歌手、アマリア・ロドリゲスだった。  レコードも発売され、来日公演も何度も見ることができたので、ごく自然に彼女の歌をカバーすることから始まった。  1972年に結婚した後の1974年、長谷川きよしさんと「灰色の瞳」をデュエットし、ワールドミュージックのジョイントコンサートを開いたことから、いい曲はどんどん日本語にして歌っていこう、という姿勢だったので。

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[2020.10]【TOKIKOの 地球曼荼羅③】生命力の猛威-ブラジルの奇跡

[2020.10]【TOKIKOの 地球曼荼羅③】生命力の猛威-ブラジルの奇跡

文●加藤登紀子 ①ペルーの出会いからブラジルの旅へ  フランス語では、前の言葉の最後の音を、後に続く音とくっつけて発音することがあります。例えば「tres important」を「トゥレ ザンポルタン」という風に。  そのリエゾンと全く同じように、ひとつの旅のちょっとしたことが、次の旅の大事な出会いにつながって来ちゃうことが、ほんとに多いです。  中南米を旅した1974年、ペルーのクスコの空港に私と同じ飛行機で一人の日本人男性が降りたのです。一人旅だった私はちよっと頼り

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