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#シコ・ブアルキ

[2022.8]【アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉘】 眼と眼が合えば - 《Pela luz dos olhs meus》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  ジョビンが、女性歌手ミウーシャ(シコ・ブアルキの姉。ジョアン・ジルベルトの妻でもあった)とのデュエットで「結婚しなきゃ、結婚しなきゃ」と繰り返しながら笑顔で締めくくる名曲、「Pela luz dos olhos teus(君のまなざしの輝きに)」。この歌が、カネカン劇場のライブなどで喝采を浴びたのは、ミウーシャとジョビンの名アルバムが出された1977年のことでした。お茶目さた

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【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉚】恵みを生む大地の力を讃える ー O cio da terra

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  この連載の第1回目でご紹介した名作Cáliceでは、「主よ、この杯を我から遠ざけよ」という、聖書の中の有名な言葉を歌詞に織り込み、ワイングラスを指すようでもあり、「黙れ」と、命令されているようでもある、同音異義語を駆使した歌を、共演者ミルトン・ナシメントの美声が盛り立てていたことをご紹介しました。ミルトンとシコによる素晴らしい共演は、このほかにいくつもあり、もう1つお送りする

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【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉙】3度目の正直で居着いた人 — 《Teresinha》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  シコ・ブアルキというシンガーソングライターは、様々な形で権力と対決する音楽を編み出してきた一方で、慎ましく生きる人々の生き様や、それぞれの思いなどに焦点を当てた歌も数多く、時代背景を抜きにしても、真っ直ぐに人々の心を打つ作品がいくつもあります。この連載の第6回目でご紹介した、石切りで働き慎ましく生きる男への温かい眼差しを語った 「Pedro pedreiro」、第9回目でご紹

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[2022.6]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉘】ポルトガルのファドの熱帯版とは、これいかに - 《Fado tropcal》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura

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[2022.6]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉗】独裁に刃向かったはずが最初取り締まられなかった歌 ⎯ 《Apesar de você》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  この連載では、シコ・ブアルキが巧みな言葉の芸術を用い、一見そう見えない別な内容を歌っているようで、実は鋭い政治批判が込められているといった例を、何度かご紹介してきました。特に、1964年から20年以上続いたブラジルでの軍政を糾弾した作品が多く残されています。  そうした中で今回ご紹介する作品は、「あなたがどうであれ、人々は承服していないし、朝日が昇ることをあなたが止められな

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[2022.6]【連載 シコ・ブアルキの作品との出会い㉖】価値が減じたお札を皮肉った歌- 《Tamandaré》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  軍政による言論抑圧に対抗するシンガー・ソングライターというイメージの一方で、シコ・ブアルキが初めて発禁を命じられた作品が批判の対象としたのは、政治ではなく、巷の経済問題でした。これは、シコの芸歴をかなり知るファンにとっても、意外なことかもしれません。  中南米に馴染みある方々の間では、様々な時期あちこちで人々の苦労の種となったハイパー・インフレーション(高度の物価上昇)の悩

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[2022.5] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い㉓】ドラマ放映に間に合わなかった歌詞 - 《Anos dourados》

文と訳詞 : 中村 安志  texto por Yasushi Nakamura   ブラジル最大手テレビ局のグローボ(TV Globo)は、ブラジル全国のお茶の間に向けた数々のテレビドラマを生み出していることでも知られます。日本でもどこかで用いられた「テレビ小説」のような意味の「Tele-novela(テレ・ノヴェーラ)」という名称で広く知られ、高い人気を誇り、同じ言語圏のポルトガルにも輸出されてもいます。  この連載の20回目でご紹介したガブリエラのように、ジョビンが

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[2022.5]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉕】カーニヴァルでの苦々しい再会 — 《Quem te viu, quem te vê》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  ブラジルにおいて、カーニヴァルは、多くの市民の節目となる年中行事。日本の夏祭りの夜の幻想が、それまでの暮らしの回想や、その先の夢をもたらすことがあるように、ブラジルの人々にとって、日々暮らすコミュニティでの生活や人間関係の変化、夢に描いていることが更に膨らんだり消えてしまったり。お祭りとは、そんな様々なことが起きる、非日常のひとときなのかもしれません。 ↑この曲の最初の録音

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[2022.5]【連載 シコ・ブアルキの作品との出会い㉔】女性を力強く代弁した歌 — 《Sob medida》

文と訳詞●中村 安志  texto & tradução por Yasushi Nakamura  70年代、各国社会において女性が不利な立場に置かれることが多かった中、ブラジルでは男性のシコが女性に成り代わり、一人称で歌う形式の歌をいくつも創作してきたこと。この連載の初期において、そうした例をいくつかご紹介しました。  今回は、女性が遠慮がちに語るかもしれないと想定される場面で、自身の存在や気持ちを、男勝りな勢いで主張してみせた歌、「Sob medida」をお送りしま

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[2022.4] 【連載 シコ・ブアルキの作品との出会い㉓】ならず者たちと、失われた彼らの美学に光を当てた歌 - 《Homenagem ao malandro》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  ブラジルの日常において、特に親しい者どうしの会話では、マランドロ(malandro)という存在がよく口にされます。気軽な例でいえば、仲間の誰かが次々と女性に迫りよくモテるプレーボーイであるのを指し、「あいつはマランドロ(=ワル)だ」と称したりしますし、普通には解決しにくい問題を巧みに(時にずるい方法で)切り抜ける人間を指し、「抜け目ない奴だな」といった意味で、マランドロと呼ん

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[2022.3]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉒】大西洋の向こうの国の革命に送った祝福の歌 - 《Tanto mar》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  1978年のシコのアルバム『Chico Buarque』において目立つのは、この連載の第1回目にご紹介した「Cálice」(ワイングラスとも聞こえるし、「黙れ」と命令されているようにも聞こえる歌)や、誰に向かってであるかは曖昧にした格好で、「あなたがどうであろうと違う日が来る」と説く「Apesar de você」など、軍政による独裁と人権抑圧を強く糾弾する歌ですが、遠く大西

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[2022.3]【連載シコ・ブアルキの作品との出会い㉑】 女性のために歌ったが、批判を受け、歌わないことを宣言した作品 – 《Com açúcar, com afeto》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  今年1月の終わり頃、リオから意外なニュースが飛び込んできました。軍政や大規模開発などを通じ、厳しいことの多かった60年代以降のブラジルにおいて、弱い立場にあった女性の身になって歌う歌を長年送り出しヒットさせてきたシコ・ブアルキが、その部類の名作とされるはずの曲の1つについて、フェミニスト運動家たちの批判も踏まえ、「この歌は、自分のレパートリー(作品目録)から除外し、今後は歌い

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[2022.2] 【連載 アントニオ・カルロス・ジョビンの作品との出会い⑱】おそらく初作と言われる初期の作品 - 《Imagina》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  ジョビン・ファンの間でよく知られる後年のアルバムで、彼の還暦を記念し、未発表の録音などを盛り込んだ『Tom inédito(未出のトン)』という2枚組アルバム(1987年)。これに収められている1曲ですが、曲の制作はかなり初期、おそらくこれが最初の作品ではないかとも目されている作品があります。「Imagina(想像してごらん)」という歌です。  作曲された当初は、「感傷的ワ

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[2022.3] 【連載 シコ・ブアルキの作品との出会い⑳】多様性溢れる国でのアイデンティティと、マエストロ・ジョビンへの敬意 - 《Para todos》

文と訳詞●中村 安志 texto e tradução por Yasushi Nakamura  日本の面積の22倍半という、広大な国土を擁するブラジル。カリブ海側、赤道をまたぐアマゾンの熱帯から、冬に雪も舞う南部まで、地域ごとの自然、文化、社会などが非常に多様であることは、大きな特徴です。  シコ・ブアルキは、リオデジャネイロという街で暮らしながら、この旧都市に各地から渡ってきた人々と共生する中で、歌を創作しています。実家のお手伝いさんはリオグランデドノルテという北部

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