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[2020.12]【「ラ米乱反射」電子版 第5回】ラ米の2020年重要ニュース

[2020.12]【「ラ米乱反射」電子版 第5回】ラ米の2020年重要ニュース

文●伊高浩昭(ジャーナリスト) ▼コロナ疫病COVID19猛威振るう  ラ米最大のニュースは世界の他地域同様に、現在進行中のコロナ疫病「COVID19」の爆発的流行である。2020年12月半ばの時点で、世界最悪感染状況上位15カ国に、3位ブラジル、9位アルゼンチン、10位コロンビア、12位メキシコ、15位ペルーと、5カ国が名を連ねた。「暴君」型で反知性主義のジャイール・ボウソナロ大統領施政下のブラジルは、大陸国家の巨体を持て余してアマゾニアの森林を破壊したり、コロナ禍への

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[2020.11]【「ラ米乱反射」電子版 第4回】バイデン次期米政権とラテンアメリカ

[2020.11]【「ラ米乱反射」電子版 第4回】バイデン次期米政権とラテンアメリカ

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  2020年11月3日実施の米大統領選挙は7日、ジョセフ(ジョー)・バイデン民主党候補の当選が事実上確定した。共和党の現職ドナルド・トランプ候補は再選を阻まれた。ラ米諸国は全体としてバイデン当選を歓迎している。  トランプのラ米への関心は薄かった。大統領として訪問したのは、ブエノスアイレスでのG20首脳会議時に亜国(アルゼンチン)を訪れただけだ。歴代米大統領のなかで米州首脳会議不参加を決め込んだのはトランプだけだ。  外交政策は、マイク・ポン

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[2017.12]【連載 ラ米乱反射 #140】内戦終結から25年、傷癒えない人々
エル・サルバドールの人道問題を探る

[2017.12]【連載 ラ米乱反射 #140】内戦終結から25年、傷癒えない人々 エル・サルバドールの人道問題を探る

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  首都サンサルバドール(SS、人口175万人)の南方郊外にあるエル・サルバドール(ES)国際空港には「オスカル=アルヌルフォ・ロメーロ」の名前が冠せられている。1980年3月24日、ミサのさなかに極右勢力が送り込んだ殺し屋に射殺された首都大司教ロメーロは、この国の内戦期の犠牲者・殉教者と「和平と公正への闘い」を象徴する人物である。大司教暗殺を契機に内戦は本格化、メキシコ市で92年1月16日、和平協定が調印されるまでに8万2000人が殺された。

[2018.01]【連載 ラ米乱反射 #141】コスタ・リカの軍備廃止から69年
日本人が教訓とすべき立憲主義

[2018.01]【連載 ラ米乱反射 #141】コスタ・リカの軍備廃止から69年 日本人が教訓とすべき立憲主義

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  ジェームス・モンロー(1758〜1831)は米大統領だった1823年12月2日、連邦議会(国会)への施政報告・方針演説(いわゆる教書)で、「モンロー教義」を打ち出した。それから2017年12月2日で194年が過ぎた。またホセ・フィゲレス(1906〜90)を議長とするコスタ・リカ執政評議会が1948年12月1日、軍備を廃止してから2017年の同日で69年が経過した。米州でのこれら2つの歴史的出来事は密接に関連している。 ▼モンロー教義  

[2018.02]【連載 ラ米乱反射 #142】ホンジュラス大統領選で現職が「不正当選」
チリでは保守・右翼連合が政権奪回

[2018.02]【連載 ラ米乱反射 #142】ホンジュラス大統領選で現職が「不正当選」 チリでは保守・右翼連合が政権奪回

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  ラ米では2017年終盤、大統領選挙ないし大統領を巡って様々な動きがあった。その最たるものは、11月26日実施のオンドゥーラス大統領選挙だった。この国の憲法は大統領再選を禁止していたが、現職大統領フアン・エルナンデス(国民党)は15年、世論の反対を無視して最高裁判所を動かし憲法の再選禁止条項を無効化、強引に出馬した。  だが有権者は国民党の右翼強権政治に飽き飽きしており、中道進歩主義の「反独裁野党同盟」から出馬した対立候補サルバドール・ナス

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[2017.08]【連載 ラ米乱反射 #136】制憲議会開設かマドゥーロ政権否定か 天王山対決を迎えるベネズエラ

[2017.08]【連載 ラ米乱反射 #136】制憲議会開設かマドゥーロ政権否定か 天王山対決を迎えるベネズエラ

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  マイアミに司令部を置く米南方軍は2017年6月6~17日、カリブ諸国など18ヶ国を巻き込んでバルバドス領海、次いでトゥリニダード&トバゴ(TT)領海で合同演習を実施した。「貿易風2017」と名付けられた演習だが、ベネズエラのマドゥーロ政権に軍事圧力を掛けるための明かな「砲艦外交」だった。特にTTはベネズエラ東部の目と鼻の先に位置する。南方軍は、米国務省と並ぶマドゥーロ政権打倒工作の中心機関なのだ。ベネズエラが緊張しないはずはなかったが、ニコ

[2017.09]【連載 ラ米乱反射 #137】マドゥーロ・ベネズエラ政権が制憲議会開設 米国に支援された反政府勢力に逆襲を開始

[2017.09]【連載 ラ米乱反射 #137】マドゥーロ・ベネズエラ政権が制憲議会開設 米国に支援された反政府勢力に逆襲を開始

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  2017年8月4日、カラカス首都圏中心部のリベルタドール区ボリーバル広場のすぐ近くにあるベネズエラ国会議事堂本会議場に、制憲議会(ANC)が開設された。1999年に当時のウーゴ・チャベス大統領が国民投票を経て開設したANC以来18年ぶりのことだ。チャベスの下で99年12月30日公布された現行の「ボリバリアーナ憲法」を改定するため開設されたのが、今回のANCである。腰部癌により2013年3月5日死去した故チャベス大統領の後継者ニコラース・マド

[2017.07]【連載 ラ米乱反射 #135】起死回生かけ制憲議会議員選挙に向かうマドゥーロ政権 米南方軍は18ヶ国を巻き込んでカリブ海で合同演習

[2017.07]【連載 ラ米乱反射 #135】起死回生かけ制憲議会議員選挙に向かうマドゥーロ政権 米南方軍は18ヶ国を巻き込んでカリブ海で合同演習

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  ベネズエラ都市部での反政府勢力によるチャベス派政権打倒のための街頭動員戦術は2017年4月初めから2ヶ月半続いており、反政府派暴徒の暴力などによる死者は90人近く、死者は1200人を上回る。ニコラース・マドゥーロ大統領のチャベス派政権は苦境超克のため、1999年の現行憲法(チャベス憲法)を大幅改定して「マドゥーロ憲法」とも呼ぶべき「新憲法」を制定する起死回生戦略を遂行、7月30日に制憲議会(ANC)議員選挙を実施する。反政府勢力の中核である

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[2017.06]【連載 ラ米乱反射 #134】「クーデターの危機」に対抗するベネズエラ 反政府勢力は米指示通り街頭暴力激化作戦

[2017.06]【連載 ラ米乱反射 #134】「クーデターの危機」に対抗するベネズエラ 反政府勢力は米指示通り街頭暴力激化作戦

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  ベネズエラで2017年4月2日、カラカス首都園を中心に反政府勢力の抗議行動が始まった。6日には抗議行動のさなかに19歳の若者が死亡した。その後5月半ばまでに40人に達することになる死者の最初の一人であり、抗議行動が暴動に転化した日に出た最初の犠牲者だった。4月6日を境に反政府勢力は、ニコラース・マドゥーロ大統領のチャベス派政権打倒に新たな舵を切った。背後にいるのはトランプ米政権である。ゴルペ(クーデター)による政権崩壊か、それを防いでチャベ

[2017.05]【連載 ラ米乱反射 #133】エクアドール次期大統領はレニーン・モレーノ 「市民革命」継続、南米右傾化食い止める

[2017.05]【連載 ラ米乱反射 #133】エクアドール次期大統領はレニーン・モレーノ 「市民革命」継続、南米右傾化食い止める

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  エクアドール(赤道国)で2017年4月2日、大統領選挙決選投票が実施され、「21世紀型社会主義」と「市民革命」を掲げるラファエル・コレア現大統領(54)の後継候補レニーン・モレーノ元副大統領(64)が接戦を制し当選した。これにより2015年末から顕著になっていた南米政治の右傾化に歯止めがかかった。ラ米左翼・進歩主義陣営は、この決選を「天下分け目の戦い」と捉え、第2次世界大戦時のソ連での激戦「スターリングラードの戦い」になぞらえていた。左翼・