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世界の音楽情報誌「ラティーナ」

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#チリ

【松田美緒の航海記 ⎯ 1枚のアルバムができるまで⑤】 Compás del Sur ⎯⎯ 羅針盤はくるくる回る ⎯⎯

▼ Compás del Sur (2011) 羅針盤はくるくる回る 文●松田美緒  『クレオールの花』をリリースした後、いろいろな旅が待っていた。まず、新年早々の2週間のベネズエラツアーで8つの州をコンサートとパランダ(セッション)しながら駆け回り、各地のトゥンバオ(スウィング)を浴びに浴びた。そして国際交流基金から南米ツアーのお話をいただいて、8月にウーゴとヤヒロさんと各地の音楽家をゲストに迎えながら、アルゼンチン、ウルグアイ、チリを公演した。いろいろな歌を歌いながら

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[2021.09]映画『夢のアンデス』公開 ⎯⎯ パトリシオ・グスマンは既に次の5年/次の3部作を見据えている

インタビュー・文●柳原孝敦 柳原孝敦(やなぎはら たかあつ) スペイン、ラテンアメリカ文学、文化研究。 著書に『テクストとしての都市 メキシコDF』(東京外国語大学出版会)『映画に学ぶスペイン語』(教育評論社から増補改訂版が近刊予定) 翻訳にベニート・ペレス=ガルドス『トリスターナ』(共和国から近刊予定) 『夢のアンデス』 ※2021年10月9日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開 ©︎ Atacama Productions - ARTE France Cinéma

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[2020.12]【「ラ米乱反射」電子版 第5回】ラ米の2020年重要ニュース

文●伊高浩昭(ジャーナリスト) ▼コロナ疫病COVID19猛威振るう ラ米最大のニュースは世界の他地域同様に、現在進行中のコロナ疫病「COVID19」の爆発的流行である。2020年12月半ばの時点で、世界最悪感染状況上位15カ国に、3位ブラジル、9位アルゼンチン、10位コロンビア、12位メキシコ、15位ペルーと、5カ国が名を連ねた。「暴君」型で反知性主義のジャイール・ボウソナロ大統領施政下のブラジルは、大陸国家の巨体を持て余してアマゾニアの森林を破壊したり、コロナ禍への的確

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[2020.12]月野楓子【特集 私が選ぶラテンアメリカの本】

選・文●月野楓子  「ラテンアメリカ文学」の魅力を紹介する書籍は少なからず出版されている。最近では、寺尾隆吉『100人の作家で知るラテンアメリカ文学ガイドブック』(勉誠出版、2020年)が、作家ひとりひとりの略歴・作品の紹介などを丁寧にまとめているだけでなく、面白いものを読むべし!と良書に狙いを定めた推薦書が紹介されていて、とても親切だ。同地域に関心を持つ者として、いろいろ読みたいなと思う一方、普段はつい関係無い本ばかりに目がいってしまう。そのため、ここではこの機会に読み直

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[2020.11]【「ラ米乱反射」電子版 第4回】バイデン次期米政権とラテンアメリカ

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  2020年11月3日実施の米大統領選挙は7日、ジョセフ(ジョー)・バイデン民主党候補の当選が事実上確定した。共和党の現職ドナルド・トランプ候補は再選を阻まれた。ラ米諸国は全体としてバイデン当選を歓迎している。  トランプのラ米への関心は薄かった。大統領として訪問したのは、ブエノスアイレスでのG20首脳会議時に亜国(アルゼンチン)を訪れただけだ。歴代米大統領のなかで米州首脳会議不参加を決め込んだのはトランプだけだ。  外交政策は、マイク・ポン

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[2020.10]【「ラ米乱反射」電子版 第3回】ボリビアで先住民中心政権が復活 チリでは民主憲法制定が決まる

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)  2020年10月、同年のラ米で最も重要な2つの政治的出来事が成就した。ボリビア大統領選挙と、来年21年の新憲法制定を決めたチリ国民投票である。 ▼ボリビア大統領選挙 ボリビア大統領選挙は10月18日実施され、出馬した5人のうち最有力候補ルイス・アルセ元経済相(57)が得票率55・1%(338万票)で圧勝した。アルセは11月8日就任するが、それにより19年11月のクーデターでエボ・モラレス大統領(61)が追放されてから途絶えていた先住民主体

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[2020.09]【TOKIKOの 地球曼荼羅②】土と太陽の歌、フォルクローレ

文●加藤登紀子 ①もう一つの9・11  9・11といえば、ほとんどの人は2001年9月11 日のニューヨーク貿易センタービルへのテロを思い起こすでしょう。でも悲惨な歴史がもうひとつ同じ日に起こっていたことを知って欲しいと思います。  1973年9月11 日、南米のチリで、1970年、民主的な選挙で選ばれたアジェンデ政権が、アウグスト・ピノチェトによる軍事クーデターで崩壊しました。それも大統領府であったモネダ宮殿への米軍による直接の爆撃によるものだったと言われています。その

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[2019.06]現代ジャズ界で存在界を示すチリ出身の才媛、カミラ・メサ 才能が覚醒したスケールの大きな新作『アンバー』

文●坂本 悠 text by YU SAKAMOTO  チリのサンティアゴ出身、現在はニューヨークを拠点に活動するヴォーカリスト/ギタリスト/作曲家のカミラ・メサによる最新作『アンバー(ámbar)』が5月29日に日本で先行発売される。2016年から2年連続で果たした来日公演では、ナチュラルかつオーガニックな歌声、躍動感あふれるギターサウンドに、カラフルな才能が余すところなく発揮されたコンポジションで多くの日本のリスナーを圧巻し、その人気は急加速した。5枚目のアルバムにし

[2018.09]チリの新鋭、ハビエル・コントレラス 2018年9月中旬に待望の来日!

文●森井英朗 text by HIDEO MORII  チリの最南端、パタゴニア地方出身のコンポーザー/ギタリスト。近年受賞したアメリカでの2つの作曲賞をはじめ、国内外で多くのコンクールを受賞している。自作自演のギター独奏曲は超絶技巧の難曲から、パタゴニアの自然と静寂をあらわすような美しい名曲などバラエティに富んでいる。南米の激しいリズムと叙情的な旋律を融合させたスタイルでパラグアイの伝説的ギタリスト『アグスティン・バリオス』の後継者とも呼ばれている。2018年9月中旬に

[2018.03]LGBT × BRASIL & CHILE 〜ブラジルのクィア・アーティスト

文●宮下ケレコン えりか texto por ERIKA MIYASHITA KELECOM 近年、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの英語の頭文字からとったセクシャルマイノリティの総称)のアーティストによる表現が盛んになってきました。中南米での動きも活発です。今回は、ブラジルのクィア・アーティストたちの音楽シーンと、LGBTをテーマにしたブラジルとチリの映画を紹介します。 ◆

[2018.03]LGBT × BRASIL & CHILE 〜ブラジルのクィア・アーティスト・ムーブメントを知るための10枚

文●宮下ケレコン えりか texto por ERIKA MIYASHITA KELECOM LINIKER『Remonta』(2016年) リニケルを一躍有名にした②「Zero」に、⑤「Tua」や③「Caeu」などリニケルを知るために欠かせないナンバーがずらり13曲。デビュー作でありながら完成度が高く、聞き応え十分の一枚。音楽面でもLGBTに関する発言においても刺激を受ける存在だというトゥリッパ・ルイスやターシア・ヘイス、アス・バイーアス・イ・ア・コジーニャ・ミネイラが

[2018.03]LGBT × BRASIL & CHILE 〜『彼の見つめる先に』劇場公開直前、監督インタビュー

文●宮下ケレコン えりか texto por ERIKA MIYASHITA KELECOM  映画『彼の見つめる先に』が、遂に日本でも劇場公開される。2014年に制作された本作は、第64回ベルリン国際映画祭で「国際批評家連盟賞」と「テディ賞」を受賞。日本では、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014で「脚本賞」を受賞した。  目の見えない主人公レオと幼なじみのジョヴァンナ、転校生のガブリエルの3人が一緒に過ごす、きらきらとしたティーンエージャーの日々が描かれる。来月の公

[2018.03]LGBT × BRASIL & CHILE 〜『ナチュラル・ウーマン』

文●圷 滋夫 texto por SHIGEO AKUTSU  チリのセバスティアン・レリオ監督の最新作「ナチュラル・ウーマン」は、ウェイトレスをしながらクラブで歌っているトランスジェンダーのマリーナが、恋人の死をきっかけにトラブルに巻き込まれ様々な困難に立ち向かう姿を、南米らしいマジック・リアリズム的手法を交えながら描いている。目撃者のいない事故死への嫌疑、トランスジェンダーに対する偏見と差別、そしてその存在そのものの社会的な脆さなどが浮き彫りになるが、最愛の人を失った悲