ラティーナ|2017年2月号

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【第1回 カンツォーネばかりがイタリアじゃない】ヴィットリオ広場のオーケストラ: 移民たちの稀有な表現活動

文● 二宮大輔

 イタリア留学中に最も衝撃を受けたのは、老婆がゴミ箱の中に転落する場面だった。私が住んでいたローマの町外れのさらに外れにジプシーのバラックがあり、そこから交通の便が良いため、我が家の近くにもジプシーたちがゴミ箱を漁りに来ていた。ローマでは、幅2メートル、高さ1メートル50はあろうかという巨大なゴミ箱が各所に配置されており、近隣住民がそこにゴミを捨て、夜間にトラックが収集して回る。

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【連載 TÚ SOLO TÚ #202】息子ブレント・フィッシャーが指揮、最新作がリリース クレア・フィッシャーのプレイが復活!

文●岡本郁生

 クレア・フィッシャーといえば、ラテン・ファンの口からはすぐに「モーニング」という曲名が飛び出してくるだろう。長らく西海岸を拠点に活動し、カル・ジェイダーとのコラボでも知られている名ピアニストにしてアレンジャーだ。とはいえ、だいたいはそのへんまでの認識で止まってしまうのではないだろうか? 実は2012年に83歳で亡くなっているのだが、彼が“参加”したニュー・アルバムがリリースされて

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島々百景 #12 ジャワ島

文と写真:宮沢和史

右グサンさん、左ワルジーナさん
(写真提供:宮沢和史)

 2001年9月11日8時46分、僕はインドネシアのジャワ島にいた。眠い目をこすりながらホテルのロビーに立ち寄ると、テレビの周りに集まっている人たちがとてもザワついている、観ているチャンネルはCNN。超高層ビルディングから巨大な煙の帯がものすごい勢いで空をグレーに染め広げている。「事故だ」そう思った。放送は英語だからと

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連載 小松亮太のタンゴ場外乱闘 #9 疑心暗鬼はシンコパから始まる

文●小松亮太 text by RYOTA KOMATSU

 僕が紹介される際、「小松さんは異ジャンルのアーティストとの共演も多く……」といった文言がよく使われるが、その音楽的成果の度合いはともかく、演奏家がジャンル超え(のようなもの)に挑む姿というのは何かしら魅力的に映るのだろう。しかしポップスやジャズやクラシックなどの演奏家とのコラボの要請に次々に応えるのは、やはり慣れるまでは中々に大変であっ

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連載 Loquincha de la bañadera #1 ムルガ カーニバルの彩り

文と写真●p_k_

 何の知識もなくウルグアイのムルガのコンクール映像を見ていて目に留まったのは、ムルガがステージを降りた時であった。中継のテレビカメラの前で、インタビューを受けつつ歌い続け、人々の抱擁と祝福を受ける。なんとも美しい光景だった。その光景を一度間近に見てみたいと思いつつも、南米でサッカーが見たいといった旅行の一目的でしかなかったムルガ。しかしこの世界に一度踏み込んでから、離れられず

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【連載】聞こえない叫び声-デモを通して見るブラジルの現状- #9 ブラジルカーニヴァルのB面

文と写真●鶴田成美 text & photo by NARUMI TSURUTA

 年末年始の休みは何日間あり、どこへ旅行に行こうか。海か山か、それとも農場か、宿はどうしよう、別荘を借りるのも悪くない。待ちに待った年末年始。旅行の計画が本格的に始まり11月に入ると人々は皆そわそわしだす。12月になると学生たちは約2か月間の夏休みへと入り、大人たちも真面目に仕事はするもののどこか様子が違う。12月

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北中南米ツアーを成功させた国境なき音楽集団 クアトロ・ミニマル

文●長屋美保
text by MIHO NAGAYA

 異なった文化と複数のルーツを呑み込んで、進化する音楽グループ、クアトロ・ミニマル(以下CM)。親指ピアノ奏者で鹿児島出身のサカキマンゴー、韓国伝統打楽器奏者であるソウル出身のチャン・ジェヒョ、メキシコシティ出身の前衛ボイス・パフォーマーのフアン・パブロ・ビジャ(以下フアンP)と、ギタリストのフェルナンド・ビゲラス(以下フェル)の計4人で編成

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アジア圏から初めて! トヨタ・ケーリー・バンド、 アイルランド伝統音楽最大の祭典、 フラー・キョールのコンペティションに参加 〜後編〜

文●豊田耕三
text by KOZO TOYOTA

 アイルランドの伝統音楽最大の祭典、フラー・キョールFleadh Cheoil。そのコンペティションにケーリー・バンドを率いて出場できることになった経緯は、前号でお話し致しました。今回はアイルランドに行ってからのお話をしたいと思います。

(野外ステージライヴ)

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タンゴ・バイオリン界の新星 日本初登場!~ 凄腕の22才、マヌエル・キローガを迎えて

オラシオ・ロモ・セステート 来日直前特集

文●土方孝人
text by TAKATO HIJIKATA

 今回、民音タンゴで来日するオラシオ・ロモ・セステートは、一人一人のメンバーが秀れた音楽家として活躍しているので、このユニットの緊密なアンサンブルを期待出来ると同時に、それぞれの名人芸を聴けることも大きな楽しみと言える。その中で日本のタンゴ・ファンにとっての嬉しいサプライズは、マヌエル・キロ

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