[2019.05]欧米インディ・クラシック・ムーヴメントに対する日本からの回答TRIOLA『Chiral』
文●松山晋也
text by SHINYA MATSUYAMA
石橋英子やジム・オルークを筆頭に、前野健太、倉地久美夫、折坂悠太など、うるさ型リスナーが多いクセモノたちの作品をヴァイオリンやヴィオラでサポートしてきた波多野敦子。自身でも4枚のソロ・アルバムを発表してきた彼女は、並行してトリオラ(TRIOLA)という弦楽デュオ・ユニットを率い、12年にはアルバム『Unstring,string』をリリースした。そして先月、7年ぶりの2作目『Chiral(キラル)』が出たのだが、これがもう、近年の欧米インディ・クラシック・ムーヴメントに対する日本からの回答とでも言うべきキレキレの作品に仕上がっている。
須原杏(左)と波多野敦子(右)
当初はヴァイオリンの波多野とヴィオラの手島絵里子とのユニットとしてスタートしたトリオラだったが、この新作では波多野は主に5弦ヴィオラを弾き、手島から替わった須原杏がヴァイオリンを担当。そして石橋英子(Dr)、ジム・オルーク(B)、ジョー・タリア(Per)が一部で参加している。まずはトリオラ結成の経緯やメンバー交替などについて、波多野はこう説明する。
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