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[2019.12]3MA バラケ・シソコ、ドリス・エル・マルミ、ラジェリの3達人が織り成す 瑞々しいアンサンブル

文と写真●松山晋也

text & photos by SHINYA MATSUYAMA

 コラを弾くマリ人のバラケ・シソコ、ウード奏者のモロッコ人ドリス・エル・マルミ、そしてマダガスカルのヴァリの名人ラジェリ。この3人から成るユニット3MAが去る10月に初来日公演をおこなった。アフリカ大陸の三つの異なる撥弦楽器が織り成すアンサンブルは精妙にして自在。コンサートでもその瑞々しい響きに客席からは感嘆の声が上がっていた。

 このユニットが誕生したのは2006年。モロッコで知り合ったのをきっかけにマダガスカルで初共演したラジェリとドリスが、バラケにも声をかけたのだという。翌07年にはレユニオンのフェスで初めて3人で演奏し、そのままアルバムも録音。そのデビュー・アルバム『3MA』は08年にリリースされた。が、3人が3人とも様々なプロジェクトに関わる多忙な音楽家ゆえ、次の作品を作る機会がなかなか訪れず、結局セカンドアルバム『Anarouz 希望』が出たのは2018年(日本盤は今年発売)である。

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3MA『Anarouz 希望』

 日本酒をグビグビやりつつのインタヴュー。ドリスは「僕らはイスラム教徒である前にミュージシャンだからOKなんだ」と、意味不明の屁理屈をのたまうのだった。

 なお、マダガスカルのヴァリ(Valiha)は日本では従来ヴァリハと呼ばれてきたが、「現地では〈ha〉は発音しない」とのラジェリの言に従って、ここではヴァリと表記する。

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