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島々百景 #30 南大東島

文と写真:宮沢和史

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 この連載の二回目で南大東島のことを取り上げた。その時は琉球弧の沖縄本島、宮古、八重山の民謡を記録しアーカイブ化するプロジェクトで来島した時のことを書いた。録音エンジニアの東江厚史氏とともに初来島し、内里美香、ボロジノ娘、大東人、等の歌を録音させていただいた。サンゴ礁が隆起してできたこの島はよく茶筒に例えられるように島の表面は真っ平ら、というか実は島のへりの部分が高く島の中心部が凹んでいるという稀有な形状をしている。そして、へりからズドンと落ちる断崖絶壁の海に囲まれ、遠浅の海岸はない。なんでこの外海にポツンと大東諸島があるのだろう? と実際に行ってみると本当に不思議に思う。神様が気まぐれで創造したとしか思えない不思議な形の島なのである。前回の民謡記録活動で内里美香の録音を終えた後、彼女の親戚一同が会し宴会を催してくれた。美味しいお酒を酌み交わしながら、子供たちの踊りを観賞したり歌を歌ったりと、それはそれは楽しい宴となった。「宮沢さん庭へ来てくれませんか」と言うのでついていくと何やら長い木の札のようなものが植えてある。よくお墓に立ててあるアレのように見える。(恥ずかしながらアレの呼び名を知らないので調べてみたら〝卒都婆~そとば〟と言うそう)そこには宮沢の名前が書いてあるのがうっすらとわかる。軽い酔いも手伝って「もしかしたら俺この島で殺されるの…??」とやや本気でかまえていると、その横に木の苗が植えられているのが見えた。琉球黒檀〝くるち〟だ。宮沢が2012年から沖縄本島の読谷村と一緒に行っている〝くるち〟の植樹活動のことを知ってくれていたんだろう、来島の記念にと、くるちの苗と記念碑の木の札を庭に植えてくれてあったのだ。そして、こう続けた。「くるちはお水をあげないと枯れてしまいますから、お水をあげるためにまた南大東島に来島してください」と。涙が出そうになった。このホスピタリティー、手厚いもてなしの心はここが孤島であるが故に生まれた暖かい精神なのかもしれない。またいつ会えるかわからないからこそ、一つ一つのご縁を大事にしたい、そんな気持ちに感動を覚えた。いつかそう遠くない将来水をやりに来よう。そう誓ってから3年半経った2018年7月8日、いよいよその時が来た。南大東村立南大東小学校110周年、同中学校70周年という周年祭があるので歌いに来てもらえないか、という依頼を内里美香経由でいただいたのだ。三線を担いで那覇空港から1時間強の空の旅に出発した。

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