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[2017.12]チリのエレクトロ・ポップを代表するスター JAVIERA MENA

文●小熊俊哉

 何年か前に、DJシャドウのパフォーマンスが「未来的すぎる」ということで強制終了されたのがニュースになっていたが、それと同じような理由で衝撃を受けたのが、チリ出身のハビエラ・メナだ。特に、2014年の3作目『Otra Era』におけるエレクトロ・ポップはあまりにも先鋭的で、この音楽がどうやって生まれてきたのか気になっていた。

 彼女は中南米におけるエレクトロ・ポップのパイオニアとして知られ、同地のインディー・ミュージックを英語圏に向けて紹介してきた音楽ブログのClub Fonograma(現在は休止中)は、2006年のファースト・アルバム『Esquemas Juveniles』を、カフェ・タクーバの『Cuatro Caminos』に次いでゼロ年代のベスト・アルバム2位に選出。上述した『Otra Era』の表題曲は、ラテン・グラミー賞のオルタナティヴ部門最優秀楽曲賞にノミネートされている。そんな重要人物が去る10月にアジア・ツアーの一環で初来日を果たしたので、思わずインタビューを申し込むことにした。

 83年にチリで生まれた彼女は、幼少期を独裁政権下で過ごし、ビオレータ・パラやビクトル・ハラのようなプロテスト・ソングを聴いて育ってきた。転機となったのは、彼女が13歳を迎えた96年。実家にパソコンがやってきたことが音楽を始めるきっかけになったという。「部屋にこもって自分の好きなように音楽を作ることが魅力的に感じた」と、本人は述懐している。

「当時、衝撃を受けたのはエイフェックス・ツインとコーネリアス。どちらも現代的な音色を奏でているけど、その国独自の音色が隠れている気がして、そこがとにかく新しかった」

 僕も同様の感想をハビエラの音楽に抱いていたので、〈チリ的な音色〉とは何かを本人に尋ねてみた。

「ラテン圏のキーワードのひとつに〈トロピカル〉があると思う。ただ、コロンビアやブラジルの音楽はもっとリズミカルだけど、チリはもう少し控えめね。いい意味でラテン的ではないのかもしれない」

 ハビエラの音楽には、一貫して内省的なトーンが感じられる。大きな主題としては〈愛〉があるそうで、初作『Esquemas Juveniles』では「学園物語みたいな恋愛観、愛の喪失」をテーマにしていたという。初期はエレクトロニカ・フォーク的なサウンドを奏でていた彼女だが、作品を重ねていくうちにダンス色を強めていくことに。そして〈もう一つの時代〉を意味する『Otra Era』では、持ち前の80年代ポップ志向が開花。これまでよりも愛を哲学的に掘り下げたという同作で、「新しいステージに進むことができた」と本人も認めている。

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