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AFRO BAHIA 2018 〜アフロ・バイーアの静かなる新潮流〜

文●中原 仁 texto por JIN NAKAHARA

 いきなり私事になるが、本誌2017年1月号の「決定! ブラジル・ディスク大賞2016」関係者投票で、自身の選考コメントを次の言葉で締めくくった。

 〈全体を見渡してあえてキーワードをあげるとすれば 〝アフロ・バイーアの通奏低音〟〉。

 アフロ・ブラジルの宗教、カンドンブレの儀式でアタバキ奏者が演奏する複合リズムを例えた言葉で、本来の音楽用語「通奏低音」とは意味が異なるが、大地に直結する低音の連続的な波動を自分なりに表現してみた。

 16年の関係者投票ベスト10に選んだ中の2枚が、ロウレンソ・ヘベッチスの『オ・コルポ・ヂ・デントロ』と、ロウレンソが師事してアフロ・ブラジルのリズムを学んだマエストロ、レチエリス・レイチが率いるオルケストラ・フンピレズの『ア・サガ・ダ・トラヴェシーア』。共にアタバキのリズム・アンサンブルにラージ・アンサンブルが乗るインストゥルメンタル作品だった。

 この衝撃的な2作品だけでなく、同年の1位にあげたアナ・クラウヂア・ロメリーノの『マイアナ』、2位にあげたジョジ・ルッカの『ブリンケイ・ヂ・インヴェンタール・オ・ムンド』、共にリオの女性歌手の作品からも〝アフロ・バイーアの通奏低音〟と呼べるリズムが聴き取れた。

 カンドンブレの多様なリズムの中で最も有名なイジェシャーは、バイーアのポップスを象徴するアイコンに定着しているが、ロウレンソやフンピレズらの作品におけるリズムは、より原初的だ。

 アフロ・バイーアのリズムのルーツをふまえた音楽が2010年代の後半、新たな潮流となるのではないか。そんな期待を抱いていたら、ロウレンソのアルバムのプロデューサーをつとめたアート・リンゼイが〝カンドンブレの音楽とゴスペルの融合〟をひとつのテーマに据えた13年ぶりの新作『ケアフル・マダム』を発表。さらに、アフロ・バイーア魂に根ざした新世代の女性歌手、ルエジ・ルナ、シェニア・フランサがファースト・ソロ・アルバムを発表し、共に日本盤もリリースされ、時が来た! そんな実感がある。

 前置きが長くなったが、ここからルエジ・ルナ、シェニア・フランサを軸に、最新のアフロ・バイーア音楽の動向を探っていこう。

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