[2018.10]特集:音楽とラジオとエッセイと 〜まさかのクラシック

文●星野智幸

 初めて自分で買ったレコードは、まさかのクラシックだった。カラヤン指揮、ベートーヴェンの交響曲『田園』と『英雄』のカップリング。横浜市の小学生の高学年のころで、二子玉川園(当時)の高島屋に入っている新星堂まで遠出して買った。

 こう書くと、ハイソな家庭に育ち、小ぎれいにしている親のもと、週一でヴァイオリンなどを習っていて、ときどき革靴を履く子どもをイメージするかもしれないけれど、もちろん私の記憶にそんな自分は存在しない。文化的には貧しい家庭環境だった。

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