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[2020.01]メストリーニョと、 サンフォーナの普遍的サウンド

文●ヂエゴ・ムニス text by Diego Muniz

 ブラジルで最もポピュラーな楽器のひとつであるサンフォーナ。その歴史は、ルイス・ゴンザーガ、ドミンギーニョス、シヴーカやエルメート・パスコアールといった北東部の偉大な音楽家とリンクしている。アーティスト達により、アコーディオンは大衆から批評家まであらゆる者の心を掴み、クラシックとポピュラー音楽の間の壁を壊し、MPBの繁栄にも多大なる貢献をした。

 新世代のミュージシャン達は、数々の偉人が描いてきた道をたどるだけでなく、その音の多様性を活用して、ブラジル音楽におけるサンフォーナの位置を確かなものにし、ますます普及させていこうとしている。

 そんな若手サンフォーナ奏者の中でも、MPBの大御所とも多数共演していることで頭角を現してきているのが、エヂヴァルド・ジュニオール・アウヴェス・ヂ・オリヴェイラ、通称メストリーニョだ。

 セルジッペ州イタバイアーナに生まれ、ここ10年以上はサンパウロをベースに活動中の彼は、これまでエルバ・ハマーリョ、ジルベルト・ジル、ドミンギーニョス、ジャイール・ロドリゲスやイヴェッチ・サンガロらと録音。ライブでは、エルメート・パスコアール、ホーザ・パッソス、ゼリア・ドゥンカン、ジェラルド・アゼヴェド、エルザ・ソアレス、ベニト・ジ・パウラ、ゼカ・バレイロなどとも共演してきた。

 サンフォーナ奏者マネジーニョ・ド・カリラを祖父に、同じくプレイヤーのエリヴァウド・ヂ・カリラを父にもつメストリーニョは、北東部のサンフォーナスクールを経由し、音楽界で独自の道を切り開き始めている。編曲家、作曲家、楽器奏者でありセルジッペ出身者として、フォホーを弾き始めた彼は、ソロとしてのキャリアを確立するためにポップミュージックの世界に舵を切った。もちろん、サンフォーナを捨てることなく。

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