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[2019.06]Gilberto Gil x Roberta Sá 愛される歌姫が歌う ジルベルト・ジル集

文●宮ヶ迫ナンシー理沙

text by NANCI LISSA MIYAGASAKO

“最初は歌手としてホベルタを好きになりました。そしてそのあと、友人として。そして50年以上のキャリアをあゆんできた、キャリアも後半にさしかかった今、共作のパートナーとして。彼女が近くにいて、私たちが最も愛する音楽をともに作ることができて、私は感謝しています。” ── Gilberto Gil

 ブラジルには数多くの素晴らしい女性歌手が存在することで有名だが、同世代の歌手のなかでも一際の輝きを放つ女性歌手、ホベルタ・サー。2005年のデビュー以来、その美貌と歌唱力、魅力的な作品によって確実にファンを増やし、ブラジルを代表する歌手の一人として多くの人に認められる存在である。2016年リオ五輪の閉会式では、ブラジルの30年代~50年代にブラジル音楽を国際的に広めた立役者の一人で、伝説的な歌姫であるカルメン・ミランダに扮し、その存在を全世界に知らしめた。本誌では、作品を発表するごとにインタビューを掲載しており(2007年12月号、2009年12月号、2010年11月号、2010年12月号、2011年1月号、2016年1月号)、近年ラティーナに最も登場回数の多いアーティストの一人である。みんなに愛されるアーティストだ。2010年に初来日公演を果たし、その際に現編集長が力の入った彼女の紹介記事を数号にわたって執筆している。── 才色兼備とはまさに彼女のこと。天が二物を与え、その美しさとパフォーマンスに誰もが魅了されずにはいられない女性。

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© Nana Moraes

 サンバを歌い一躍有名になった彼女。そのサンバへの愛をストレートに表現した前作『Delírio』(2015)は、その年のブラジルディスク大賞において一般投票、関係者投票でともにトップテン入り。日本でもその人気を不動のものとしている。前作から4年、御大ジルベルト・ジルの書き下ろし楽曲で作ったという期待感高まる待望のアルバム『Giro』をリリースした。プロデュースは、ジルの息子ベン・ジル(ギターも担当)。バンダ・ジロと命名されたバンドには、ジルをはじめ、前作に続きサポートするアルベルト・コンチネンチーノ(ベース)、ドメニコ・ランセロッチ(ドラム)。5月10日にサルヴァドールから国内でのリリースツアーを開始し、その準備等で多忙を極める彼女が、合間にメールインタビューに答えてくれた。

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