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[2020.01]南米に変動期再来 ボリビア政変で先住民族の悪夢甦る

文●伊高浩昭(ジャーナリスト) text by HIROAKI IDAKA

 ラ米2019年最大の出来事はボリビアで11月に米国絡みで起きた民・軍合同のクーデターであろう。この政変は、スペイン人らの米州侵略に始まる先住民族蔑視・蹂躙・殺戮の悪行の歴史の再現であるがゆえに極めて深刻だ。先住諸民族が「アブヤ・ヤラ」と呼ぶアメリカ世界(米州)に生まれた現代史上初の先住民族中心の民主政権が葬られたのだ。

▼先住民族の復権

 スペイン人は十字架と剣をかざし、キリスト神とスペイン国王の名の下、先住者に改宗・従属もしくは死を迫った。こうして「キリスト教化」を名目にした大陸規模の壮大な掠奪は始まった。現代流に解釈すれば、植民地建設は領土奪取・拡張のため先住者の「無人化」を謀った大規模な「民族浄化」の中世的ファシズムの事業だった。

 ラ米諸国の独立政権はクリオージョが支配し、国家・社会の実態は植民地時代と大きく変わるものではなかった。先住民族とその混血が国民の8割方を占めるボリビアも然り。しかし独立後181年経った2006年、同国最大の先住民族アイマラ人のエボ・モラレス=アイマが大統領に就任。先住民族は5世紀ぶりにボリビアの主人公になった。

 麻薬コカイン原料コカ葉の栽培労連指導者だったモラレスは、政党「社会主義運動」(MAS)から05年の大統領選挙に出馬し当選すると、「民主と文化の革命」を掲げて改革に取り組む。先住民族復権を主眼とし、前文に「植民地的・共和主義的・新自由主義国家」への訣別を謳う新憲法を09年制定。土着信仰「パチャママ」は前文でキリスト教の前に置かれ、虹色に似た7色の先住民族旗ウィパラは「国の象徴」になり、国名は「ボリビア多民族国」に改名された。

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