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[2018.08]特集:日本の新しい室内楽2018 花岡 千春 〜洋楽受容期から第二次世界大戦にかけての邦人ピアノ作品

文●小室敬幸 text by TAKAYUKI KOMURO

「日本の新しい室内楽」としては少し異色の切り口にみえるかもしれない。だが現在、アメリカの若いジャズ・ミュージシャンたちがアメリカーナに注目することでアメリカ的なるものを再考していることを思い起こせば、このタイミングで20世紀前半の日本の音楽を考え直すことにも意味を見いだせるはずだ。

 そもそも日本の伝統音楽は近隣のアジア諸国からもたらされた楽器や音楽をもとにして、独自のスタイルに昇華させたものであった。明治期になると本格的に欧米から音楽を取り入れはじめるのだが、日本に音楽教育の基礎を築いた伊沢修二(1815-1917)らが手がけた唱歌や、ヴァイオリニスト幸田延(1870-1946)による日本初の本格的な器楽曲では、いかにして西洋の音楽を取り入れるかに注力されており、音楽上で日本らしさが追求されてゆくのは幸田の弟子である瀧廉太郎(1879-1903)や山田耕筰(1886-1965)以降のこと。しかしながら、教科書に載る瀧と山田、そして1980年代にリバイバルを果たした伊福部昭(1914-2006)などの特例を除けば、その後のクラシックならびに現代音楽の分野で知られるのは武満徹(1930-1996)らに代表されるような、戦後に前衛的な音楽を手がけた作曲家ばかりだ。端的に言って、戦前に活躍した作曲家の多くが忘れ去られつつある。

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