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[2019.04]島々百景 #38 与那国島

文と写真:宮沢和史

与那国島_1


 与那国ぬ渡海や 池ぬ水心
 心安々とぅ 渡てぃいもり
与那国島の渡航は まるで静かな池を渡るように
安心して お渡りください
『ドゥナンスンカニ(与那国ションカネー)』 
与那国島民謡

 沖縄県八重山諸島、与那国島は日本最西端の孤島だ。東側に位置する石垣島への距離と、西側にそびえる台湾との距離はほぼ同じ。沖縄本島はというとはるか500㎞北東の彼方に位置する。日本本土、東京との距離感は言わずもがな…。位置的にはもちろんのこと精神的にも台湾の方がはるかに身近であろう。台湾のラジオ放送が聞こえることがあるらしいし、実際、沖縄戦直後は台湾との密取引が盛んに行われていたようで、当時かなり景気が良く賑わいを見せていたようだ。冒頭の歌の歌詞を読むと与那国島は穏やかな洋上に浮かぶ島だと思ってしまいそうだが、とんでもない。与那国島の現地での呼び方は『どぅなん』。天候が不安定で海が荒れやすく、渡るのが困難であることから『渡難』と漢字を当てるはめることがある。名前の由来は諸説あるようだが…。

 現在、与那国島の航路の玄関は島の最西端(すなわち日本の最西端)にある〝久部良港〟だが、かつては島の北部の〝なんた浜〟だった。この浜は名曲として歌われている。

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