[2019.04]平成のワールドミュージック ②平成6年〜平成10年

●平成6年(1994年)

弾ける明るさに心洗われる最高傑作

『りんけんバンド/ゴンゴン』

94_りんけん

 照屋林賢率いるりんけんバンドは、沖縄の言葉と伝統的な音楽性をベースにした現代的なサウンドで、多くの人に沖縄音楽のすばらしさを教えてくれた。佳曲は数多いが、アルバムとしては林賢の作曲、サウンド・クリエイトの力量がフルに発揮されたこのアルバムが最高傑作だろう。ジャケットに作品が使われている版画家の名嘉睦稔が作詞した「海とぅ島」や桑江良奎作詞の「あやふに」などから、沖縄の大自然が目の前いっぱいに広がる。睦稔の歌詞は同音反復の響きが面白い。「御願不足」「にんだらん」など、林賢の父、照屋林助による歌詞にはユーモアと優しさがいっぱい。林助自身の声も少しだけ聴ける。多彩なリズムと親しみやすいメロディ。上原知子の楚々とした歌のたたずまい。男性ヴォーカル陣の元気と演劇性。それらのサウンド全体を貫いているのは、このバンドならではの向日性だ。この弾ける明るさに、心洗われる人が多いのではないだろうか。(松村 洋)

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