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[2017.09]【連載 ラ米乱反射 #137】マドゥーロ・ベネズエラ政権が制憲議会開設 米国に支援された反政府勢力に逆襲を開始

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)

 2017年8月4日、カラカス首都圏中心部のリベルタドール区ボリーバル広場のすぐ近くにあるベネズエラ国会議事堂本会議場に、制憲議会(ANC)が開設された。1999年に当時のウーゴ・チャベス大統領が国民投票を経て開設したANC以来18年ぶりのことだ。チャベスの下で99年12月30日公布された現行の「ボリバリアーナ憲法」を改定するため開設されたのが、今回のANCである。腰部癌により2013年3月5日死去した故チャベス大統領の後継者ニコラース・マドゥーロ大統領は、保守・右翼約20党から成る野党連合MUD(民主連合会議)が16年1月以降、圧倒的多数を握る国会(AN)との「捩れ現象」に苦しみ、今年3月末、最高裁判所憲法法廷に国会機能を代行させようとして失敗。4月初めから4ヶ月余り、トランプ米政権に戦略と資金の両面で支援されたMUD極右政党主導の激しい街頭暴動、破壊活動、対人テロリズムで政治危機に陥ってきた。

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1999年末に公布された現行のボリバリアーナ憲法

 その間の5月1日、大統領はANC開設構想を打ち出し、7月30日、ANC議員選挙に漕ぎ着けた。市・共同体選挙区364人、職能別173人、先住民族8人の計545人を選んだのだが、MUDがボイコットしたため、立候補者も当選者も全員が政権党連合「大愛国軸」(GPP)に属している。政権にとりANC開設は止むに止まれぬ「緊急避難」的措置だったが、「反転攻勢」から逆襲へと突き進むために抜いた「伝家の宝刀」でもある。

▼長引いた政経両面の危機

 政治危機は今回が初めてではない。マドゥーロ政権が正式に発足した2013年4月、マドゥーロ大統領が僅差で当選した大統領選挙の直後、敗れたMUD候補エンリケ・カプリーレス(現ミランダ州知事)陣営が街頭暴力戦術に出た時も危うかった。カプリーレス派は、暴動で社会を混乱させマドゥーロ当選を覆し、開票やり直しで逆転勝利するか、マドゥーロ当選を無効とし再選挙に持ち込むか、という戦略だった。このような大統領選挙直後の民主破壊の隠謀はラ米では、その道の専門職の指導の下、公然と展開され、虚偽が闊歩し真実が肩身の狭い思いをする時代に悪しき華々しさを加えてきた。カプリーレスは、暴力肯定派を含むMUD極右の「まず正義を」(PJ)党首で、暴力を肯定する。

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