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[2019.07]『アマンダと僕』にみる、子供から学ぶ生命力

文●立田敦子 text by ATSUKO TATEDA

 第75回ヴェネチア国際映画祭「オリゾンティ部門」でマジック・ラタン賞、第31回東京国際映画祭で東京ブランプリ、最優秀脚本賞をW受賞するなど脚光を浴びた映画『アマンダと僕』。シングルマザーの姉の突然の死により、7歳の姪アマンダの面倒をみることになった独身青年ダヴィッドの、再生までの旅路を描いた感動のヒューマン・ドラマだ。

 長編第3作にして、繊細でかつ力強い物語を紡ぎ出したフランスの気鋭ミカエル・アース監督に話を聞いた。

監督写真

ミカエル・アース監督

── この物語の投入部でも悲惨なテロ事件が描かれますが、2015年にフランスで起こった同時多発テロは、あなたにどんな与えた影響を与えたのでしょうか?

ミカエル・アース この映画は、〝テロの後〟を描いた物語です。2015年の同時多発テロは、確かにこの脚本を書くきっかけのひとつとなりました。私自身にとっても、パリはよく知っている場所なので、(テロは)とてもショックでした。あのような暴力的な悲劇があったという名残は、いまでもパリの人々の中にあります。少しづつ薄れてきてはいるものの、人々の記憶には強く刻まれてしまっているのです。テロの前と後では、パリも変わってしまったと思います。軍人があらゆるところにいたりとか、公園など公共の場の使い方とか、歩道のような場所はテロから守ることができるのか、とか、いろいろな議論が起こりました。町自体が変わってしまったといってもいいでしょう。

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