見出し画像

[2020.05]「私の思い出のラティーナ」アンケート|その1

回答者その1 島﨑 長次郎 / 田中勝則 / 小松亮太 / 濱田滋郎 / 深作 英世  /筒井由美子 / 高橋政資  / 石田昌隆 / 高橋 敏 / 國安真奈 / 石橋 純 /鈴木一哉 / 友田聡 / 平井 雅 / 高橋研一 / 斎藤充正 / 佐藤由美 / 若杉実 / 岡本郁生 / 
斉藤憲三 / 佐々木俊広 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  

島﨑 長次郎 Chojiro Shimazaki

●1932(昭和7)年秩父市生まれ。法政大学経済学部卒。雑誌「中南米音楽」、「レコード・コレクターズ」などに執筆、同時にレコード各社のLP・CDの解説を手がける。著書に音楽の友社刊行の「タンゴ入門」(1965年)、や、「タンゴ…世紀を越えて」(1999年、共著)がある。
 現在はタンゴ愛好家の全国組織の「日本タンゴ・アカデミー」の名誉会長のほか、「タンゴ心酔クラブ」の代表を務める傍ら、地元のさいたま市をはじめ、川口市、千葉県の市川市などの公民館での「タンゴ講座」を担当し、タンゴの普及と発展に取り組んでいる。

1島崎XXX

▲特に印象に残っているラティーナ(あるいは中年米音楽の号、または記事

 〝世界の音楽情報誌、月刊「ラティーナ」が、5月号をもって休刊する〟と知ったのは、去る2月19日の新聞で、びっくりすると共に、残念に思った方も多かったことと思う。

 かつて戦後の一時期、ポピュラー音楽の首座は俗に〝ジャズ、タンゴ、シャンソン〟によって占められ、共に人気が沸騰し、ジャズは「スイングジャーナル」(1947~)、シャンソンは「シャンソン」(1957~)といった雑誌が創刊されるなか、一方のタンゴもこれに負けることなく、1952年5月、わが国におけるタンコのパイオニア、高橋忠雄さんを中心にした有志の手で「中南米音楽」誌が創刊され、それ以降、全国各地の多くのタンゴのファンの注目を集め、熱烈な愛好家の育成に多大な尽力を発揮された。かく言う私もその恩恵にあずかった一人であるが、当初は戦後の荒廃の影響もあって、資金難に加えて用紙の調達などで大変なご苦労があったと聞いているものの、やがて中西義郎氏が発行責任者となってから、営業の手腕を発揮し、これを軌道に乗せ、史上空前ともいうべきタンゴ・ブームを中心に、ラテン・ミュージック発展のための強力な下支えを果たされた。

 やがて時は流れ、1983年の5月号から誌名を「LATINA」に変更し、現在の本田健治氏を発行責任者として再出発し今日に至ったが、中西氏が1992年9月13日、アルゼンチンでの楽団招聘活動の帰途で急逝されて以降は、本田氏が出版から楽団招聘まで事業の全責任を負って、ファンのために全力を注いで今日まで頑張っていただいた。

 新聞記事に氏いわく〝一定の役割を終えた〟とあるが、とてもよく判る気がする。先にあげた「スイングジャーナル」が2010年、「シャンソン」が1963年にすでに休刊したのでも判るとおり、時代が大きく変わったのだ。特に1966年のビートルズ来日前後からポピュラー音楽の世界は激変し、その一方でネットの活用が急激に拡大してきたのだから……。

 最後に、困難な中で健闘を続けられた本田健治氏に心からの感謝とお礼を申し述べたい。

Question●出会いと別れの季節に聴きたくなる大切な1曲      ◉「La Cumparsita(Gerardo Matos Rodríguez)」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

田中 勝則 Katsunori Tanaka

●音楽評論家。ライス・レコードの社長を辞めた後は、復刻専門レーベル「ディスコロヒア」を主宰。相変わらずCD制作を続けています。

画像2

▲特に印象に残っている雑誌ラティーナの号、または記事

 もともとロック・ファンだったぼくが「中南米音楽」をはじめて購読したのは1970年代後半。当初関心があったのはブラジル音楽くらいでしたが、でもある時期からラテン音楽全体が好きになって、バックナンバーも集めはじめました。いまでは『中南米音楽」から「ラティーナ」の95%くらいは揃っていると思います。

 そんな「中南米音楽」の初期の号を見ると、やはりタンゴの記事が中心で、そこから現在のような「何でもあり」の時代になるには、紆余曲折がありました。その中で、タンゴ以外の音楽家が表紙を飾って読者を最初に驚かせたのが1954年8月号だったかもしれません。この時表紙を飾ったのが若き日のアタウアルパ・ユパンキ。当時神戸でクリスマール・レコードというレーベルをやっていた野崎浩一さんがユパンキのSPを入手して、これがものすごく良かったぞ、という内容の記事が掲載されているのですが、この時点でユパンキを聞いた日本人は、なんとこの野崎さんだけ。それで表紙になってしまったのですから、当時の「中南米音楽」の先見の明には驚かされます。

 またこれには後日談もあって、後に音楽評論家になる永田文夫さんは当時「京都中南米音楽研究会」の会長だったのですが、この記事を読んでユパンキに興味を持ち、神戸までわざわざレコードを借りに行きました。もちろん京都中南米の例会で会員たちに聞かせるためです。こうして歴史的な本邦初のユパンキ一般公開となったのですが、当日は針が落とされた瞬間に会場は静まりかえり、咳をする人すらいないほど。そして終わったら拍手万雷。大好評でした。その日、会場にいた一人が、当時京都大学の学生で同会の会員だった中村とうようさんだったという話は、拙著『中村とうよう 音楽評論家の時代』で詳しくご紹介してあります。

 ぼくがこの号の表紙を好きなのは、芸術家然とした写真が多いユパンキには珍しく自然な笑顔が見えるからです。50年代前半のユパンキには、まだこういう表情を見せるときがあったのでしょう。ちなみに彼の音楽がもっともすばらしかったのも、まさにこの時期。そんな全盛期のユパンキをリアルタイムで取り上げた外国の雑誌は「中南米音楽」だけでした。

Question●出会いと別れの季節に聴きたくなる大切な1曲      ◉Noel Rosa「Até Amanhã」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

この続きをみるには

この続き: 24,055文字 / 画像17枚
この記事が含まれているマガジンを購入・購読する
このマガジンにはラティーナ2020年5月号の主要な記事が収められていますが、定期購読マガジンの「ラティーナ」を購読していただくと、最新号とアーカイブの全てが月額900円で読めるのでお得です。(※デジタル定期購読している方は、e-magazine LATINA内の全ての記事が読めます。このマガジンを「目次」と考えてください)

ラティーナ2020年5月号のアーカイブです。

このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…

「スキ」、ありがとうございます! ¡Gracias!
広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に。 あなたの生活を世界中の多様な音楽で彩るために情報を発信します。 月額900円のデジタル定期購読で、新規記事も、過去のアーカイブも読み放題! (※2017年以降の主要記事がアップ済。順次追加)

こちらでもピックアップされています

世界の音楽情報誌「ラティーナ」
世界の音楽情報誌「ラティーナ」
  • ¥900 / 月

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活を世界中の多様な音楽で彩るために、これからはこちらから情報を発信していきます。 毎月の特集や、強力な面々による連載に期待してください。世界のニュースや音楽情報、新譜リリース情報、イベント情報などは、日々更新していきます。購読者に向けて、様々なプレイリストも共有予定です。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。