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[2020.04]寺尾紗穂 新作『北へ向かう』インタビュー 幾重もの「中間」に響く歌

文●安東嵩史 text by TAKAFUMI ANDO

pcd27044のコピー

寺尾紗穂『北へ向かう』(Pヴァイン PCD27044)

 寺尾紗穂の最新作『北へ向かう』がリリースされた。これまで個人的かつ普遍的な歌心と社会や歴史の不条理への思いを共存させながら歌い上げてきた彼女だが、本作はその両の本質がより溶け合って新たな風景を描き出し、この世に対する彼女のまなざしが最も高い純度で表れた作品という印象を受ける。その背景について、寺尾に訊いた。

—— 今作は「夕刻」から始まり「夕まぐれ」の再録で終わる…… という構成で。どこか「今、ここ」を離れていくつかの他者の時間を旅し、また自らの「今、ここ」に戻っていくような、不思議な余韻がありました。

 中でも「北へ向かう」という表題作はお父上を亡くされた直後に金沢に向かう北陸新幹線の中で書かれた情景と心象であるとのことですが、どこか新しい風景の広がりをも感じさせる軽やかさを帯びた曲になりましたね。

寺尾 この曲は、ピアノと歌を分けて録ったんです。キセルがしっかりアレンジを固めてくれたこともあって、バンドに合わせてピアノの手数もだいぶ間引いていて、ライブで一人でやるのとはまったく違うものになりました。分けて録ると、声が一番違うんですよ。ピアノを弾きながら歌っているとある程度力が入っているので、声も力強くなりがちなんですけど、それを切り離して歌に集中してみると、こういう可愛らしさというか、少女っぽさのある歌唱になって。


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