見出し画像

[2018.07]ブラジルフィールドワーク #02 サンパウロ – リオ 空きビル占拠運動

文・写真●下郷さとみ text & photos by SATOMI SHIMOGO

  5月1日未明にサンパウロのセントロ(旧市街)で起きた高層ビル火災。火に包まれて崩壊するビルの映像を日本のニュースで目にした人も多いだろう。

 空きビルになっていた24階建てのこの建物には、2013年以来、住む家のない146家族が不法占拠して暮らしていた。がれきの中からこれまでに発見された犠牲者の数は7名。そのうち身元がわかったのは4名だけだ。

 セントロでひときわ目立っていたこの建物は1968年に、ある企業の本社ビルとして竣工した。時代を大きく先駆けた総ガラス張りで、92年には現代建築の足跡を示す価値があるとして市の歴史文化遺産にも登録されていた。80年から2003年までは連邦警察のサンパウロ本部が置かれ、07年から空きビルの1階部分だけを利用していたINSS(社会保険院)が12年に退去したのちには、不法占拠されるにまかせていたという経緯がある。

続きをみるには

残り 2,243字 / 5画像
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…