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[2017.01]島々百景 #11 宮古島

文と写真:宮沢和史

クイチャーフェスティバル2016

 今から26年くらい前、沖縄を好きになって沖縄のことなら何でも知りたくて、沖縄民謡を聴きながら片っ端から島に関する本を読んだり映画を観たりと、俗にいう『沖縄病』を患った。当時は数えるほどしかなかった東京の沖縄居酒屋に通い、嗅覚や味覚を養ったりもした。今思えば子供の頃どこからともなく聴こえてきた喜納昌吉さんの大ヒット曲「ハイサイおじさん」に耳を奪われ、細野晴臣さんや坂本龍一さんら大先輩達の沖縄音楽への接近に刺激を受け、影響され、とどめは沖縄の民謡レーベル「マルフクレコード」から発売されているたくさんの音源に触れたことによって、完全に『沖縄病』が発症した。要するに僕の場合、長い長い潜伏期間があったわけだ。何にそんなに魅了されたんだと良く聞かれるが、まずはもちろん音楽。三線の音色と琉球音階の独特の響き、意味は分からなかったがウチナー口と呼ばれる独特の言葉にすっかり魅了された。理由なんてない。恋に理由は必要ない。しかし、一言で沖縄といっても地域によって印象が異なるし、沖縄本島を離れ他の島に渡るとそこには本島とはひと味もふた味も違う唯一無二の世界が存在することを知るのにそんなに時間はかからなかった。

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