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[2017.05]トヨタ・ケーリー・バンド

 昨年、日本代表としてアイルランドの伝統音楽フェスティバルに出場し、大絶賛されたトヨタ・ケーリー・バンド。バンド主催のケーリー(ダンスパーティー)に開催当初から参加し、後進の指導にも熱心なダンサーの寺町靖子さんを交え、音楽とダンスの両面からケーリーに迫る座談会を行った。

文●おおしまゆたか

おおしまゆたか 今回の特集では普通にあるコンサート向けのバンドではなく、ケーリーバンドに話を伺いたいと思いました。そもそも日本におけるケーリーバンド主導の定期的なケーリーの開催を望む根強い声があって結成されたということで、これはダンサーからの声だったのですか。

豊田耕三 話が出たのは、アイルランドです。初めて現地のケーリーに参加した時に、タラ・ケーリーバンドやキルフェーラ・ケーリーバンドのケーリーを踊って、わーこれもう全然異次元だわ、魔法みたいだと感じました。ICF(今年で8回を数える Intercollegiate Celtic Festival のこと。毎年3月、東京で開催されている学生主催のイベント。三日間にわたってアイリッシュを中心とした器楽演奏とダンスのワークショップとライヴ、ケーリーが催される。)でダンスを指導してくださってた石井亜由子さんと宮本豪さんがそこに来てた。そのお二方から、長いことダンスをやっているけれど、ダンサーさん達が自分たちでケーリーを開催してミュージシャンに伴奏をお願いしてるという状況をなんとかしたいと言われまして。向こうのケーリーを見て、ミュージシャンがダンサーを迎えるっていうのが、本来の形なんだって自分はその時初めて知った。確かにこれは今日本にない。お二方から、いつかそうやってよって言われて、いや、それめっちゃハードル高いっすよという話をしてたんです。それが最初です。

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