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[2017.09]風を奏でる音楽家のダイアリー #03 魔力

文●ジョアナ・ケイロス

 演奏者として私の最大の喜びのひとつは、コンポーザーの仲間たちの作品づくりに協力できることだ。私の音楽的人生を最も刺激する事柄だと思う。この世に作品が誕生し発展する過程に立ち会い、初めてそれを演奏して、アイデアが生まれるその場に参加して、それが人の耳、意識、心を通じて広がっていくのを目撃できること。

 ちょっと振り返って思い出す。イチベレ・ツヴァルギと過ごした濃厚な時間でどれほど多くのことを学んだかを。多くの作品の誕生に立ち会い、編曲の展開や演奏する上でのチャレンジなど。その後エルメート・パスコアルと過ごした時間(そんなに長い期間ではなかったけれど、とても濃密だったし、音楽をやっていると時間の感覚が狂うのだ)。つながり-敬意を抱いて聴き込んできたのは、レア・フレイリ、ジョイス、カルロス・アギーレ、マリオ・ラジーニャ、マリア・ジョアンなど…… 無限にリストアップできるけど、ここでは鮮明に印象に残っていて、私が進む道を示しくれた、今、思い浮かぶところを挙げた。(ある音楽が他の音楽より心に深くふれるのはなぜだろう? 音楽性がその人たちに親しみを感じさせるのか? それとも作者と親しくしているからその音楽をより好むのだろうか? きっと両方かもしれない。)アカ・セカ、フェルナンド・カブレラ、スキッシ。(アルゼンチンとウルグアイとの関わりをふりかえっても、すごく心に残っているつながりがたくさん)モノ・フォンタナ、フアン・ファルー。リリアナ・エレーロのような素晴らしい表現者も。

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