[2018.07]カニサレス その英知とテクニックを多重録音で凝縮し フラメンコの新たな可能性を追求した新作 『洞窟の神話』
文●松山晋也 text by SHINYA MATSUAYAM
様々な角度から〝フラメンコとは何なのか〟を探求し続けてきたスペインの偉大なるギタリスト、カニサレス。ここ数年はもっぱら、ファリャやアルベニス、グラナドスといった母国のクラシック系作曲家たちの作品の録音を通して、フラメンコの本質と新しい可能性を探ってきたわけだが、最近出たニュー・アルバム『洞窟の神話』は、久しぶりにフラメンコに真正面から取り組んだ作品となった。とはいっても、そこに収められたオリジナル曲群は当然、近年のクラシック音楽研究の成果がしっかり結実したものとなっている。様々な点で、ヒターノたちが演奏する通常のフラメンコとは一味も二味も違うのだ。フラメンコの神髄を独自の視点で検証してきた男の、現時点での中間決算報告書と言っていいだろう。
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