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[2020.08]チェオ・ウルタード|ベネズエラ【特集:世界の音楽家は新型コロナ後の“NEXT WORLD”をどう描くか?】



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「彼がクアトロを手にすると火山の如き熱風が巻き起こり、オリノコ川のテンブラドール(デンキウナギ)がその指に電気ショックを与えたかのようだ。そうだ、チェオ・ウルタードはユニーヴァーサルな存在なのだ」(エリアス・イナティ)
チェオ・ウルタード●プロフィール  1960年ボリーバル市生まれ。幼少期からギタリストの父ドン・ラモン・ウルタードに手ほどきを受ける。1973年には地元のクアトロフェスティバルで優秀賞を獲得し、キャリアをスタートさせる。1975年から83年にはクアトロ、ギター、マンドリンの講師としてボリーバル市文化センターで勤務。1985年にはルイス・フリオ・トロ、クリストバル・ソトとグルフィオ・アンサンブルを結成。ベネズエラポピュラー音楽のエンブレム的クアトロ奏者として国内外の名声を獲得してきた。2007年には盟友アルデマロ・ロメロへ捧げる『Cheo cuenta Boleros』を発表。現在続編となる『Cheo Cuenta Boleros 2』の制作にとりかかっている。国際的なクアトロフェスティバル、ラ・シエンブラを2004年から毎年主宰している。



Q1─ ソーシャルディスタンスを強いられ、自宅にいる時間が以前より増えたと思います、現在の創作活動の仕方を教えてください。

A1─もちろんアーティストとしての活動は続けていますが、観客をいれてのコンサートはできていません。外出禁止、ソーシャル・ディスタンスを強いられており、仕事は激減し、新たな契約はできていません。しかしスポンサーを探して家から2回ライヴ配信でミニライヴを行い、経済的な面でも少しは生産的なものをやることができました。

「Carretera (Aldemaro Romero作)」
チェオ・ウルタード(クアトロ) 、ヘルマン・ダリオ・ペレス(ピアノ)ネネ・キンテーロ(パーカッション)、リカルド・サパタ(コントラバス)

Q2─ この機会に新たに始めた取り組みはありますか? また、周りの音楽家が始めた中で印象的な活動はありますか?

A2─ボレロの2枚目のアルバムを製作しています。僕はあまりいい歌手ではありませんがなんでも歌うのが好きです。クアトロだけのソロアルバムも計画中ですし、アーティスト活動を止めるつもりはありません。その他にはオンラインでベネズエラの様々なクアトロ奏法に関するワークショップを考えています。周りの音楽家たちとはインスタグラムなどで映像のモンタージュを行なって色々参加してきました。様々な音楽に触れることで僕たち自身がアクティヴになれる貴重な機会です。クアトロに関しては盛んにワークショップが開催されています。米国ではクアトロ・トリオ、アイスランドではミゲル・シソといったベネズエラ人のディアスポラによって世界に離散したクアトロ奏者がワークショップに励んでいます。

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