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[2018.02]登川誠仁『せい小やいびーん』〜島うたの最高峰が遺した晩年のライヴ録音

文●松村 洋 text by HIROSHI MATSUMURA

 「たるんちゅたびやゆくたびゆ/うむいぬくすなこのしけに」

 誰もがあの世へと一度は旅立つのだから、この世に思いを残さないように——。

 ライヴ・アルバム『せい小やいびーん』の冒頭に収められているゆんたく(おしゃべり)の中で、せい小こと登川誠仁先生はそう言って「これは重大な問題ですよ」と念を押している。たしかに、思いを残したままだと霊魂があの世とこの世を行ったり来たりすることになりそうだ。それでは本人も不幸だし、また生きている人にも迷惑である。

 自由闊達な歌とパワフルな三線で人びとを魅了した沖縄民謡界の巨人、せい小先生は2013年3月、満80歳で旅立った。おそらく歌三線に関しては、心ゆくまで歌い遊んだ生涯、この世に思い残すことのない人生だったのではないだろうか。

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 先頃リリースされたこのライヴ盤CDは、せい小先生の親友だった照屋林助(1929〜2005)にちなんで毎年沖縄市(コザ)で開催されている無料の民謡イベント〈コザ・てるりん祭〉での演奏を集めたものだ。若手から超ベテランまで、多彩な出演者が商店街のこぢんまりした仮設ステージで次々に歌う。それらを、ご近所から集まってきたお客さんがのんびりと楽しんでいる。いたってのどかなローカル・イベントである。

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