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[2019.01]フェルナンド・マルサン 民音タンゴ・シリーズ50回記念のステージに 臨む、ポピュラー・センスあふれるピアノの達人

文●佐藤由美 text by YUMI SATO

 ヒーロー然とした勇姿で脚光を浴びるリーダーよりも、職人芸に徹し己をひけらかさぬ地味なマエストロのほうに、むしろ魅力を感じてしまう。例えばオルランド・トリポディ、ノルベルト・ラモス、カルロス・マルサン、名門楽団の継承者カルロス・ラサリもそんなタイプだった。謙虚な人柄に接したせいもあるだろうが、彼らに共通する、まるで主役の座に固執していないといった、ある種の達観した美徳に惹かれたのかも知れない。

 名を挙げたマエストロたちはバンドネオンのラサリを除き、いずれもピアニストで、あらゆる歴史的スタイルに対応できる、いわばタンゴ界のオールラウンダー。つねに楽団の調和を重んじ、緩急自在の采配に長けながら、ここぞという瞬間に思いがけない個性と美学を編曲で垣間見せる、並外れた職人のような存在なのだ。実に、一見派手さのない名人芸の中にこそ、タンゴの醍醐味がある。

 本稿の主役フェルナンド・マルサンも、同様の流儀を身に着けてきた音楽家ではなかろうか。それでなくては、数々のヒット・タンゴショーを優れたピアノ&編曲術で支え続けられるはずがない。1967年ブエノスアイレス生まれ。記念すべき民音タンゴ・シリーズ50回目のステージに臨む、滋味深き現代の達人への来日直前インタビューをお届けしよう。

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