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[2017.08]特集 編曲する女性たち|レア・フレイリが奏でるブラジルの音色〜ブラジルのインストゥルメンタル・ミュージックを代表するアーティストが、2枚の新作アルバムを携え、キャリア45周年を祝う

文●ヂエゴ・ムニス
texto por DIEGO MUNIZ

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© Paulo Rapoport

 ブラジルの音楽産業の囲いから離れた場所で、レア・フレイリはブラジルのインストゥルメンタル・ミュージック界において重要な歴史を刻んでいる。クラシックとポピュラーを行き来し、フルート奏者、編曲家、そして作曲家である彼女は、独自の「語法」生み出し、ジャンルを問わずに活躍するアーティストたちの中心的な人物となった。

 エドゥ・ロボ、ジョイス、テコ・カルドーゾ、モニカ・サウマーゾはこのフルート奏者のファンであると公言する。「レアの作曲は非常に完成度が高く、音楽的構成、クリエーションそしてインプロヴィゼーションは世界のトップレベル。固有のパーソナリティで、ブラジルのリズムの文化的豊かさについて語ることをやめない」とモニカが太鼓判を押す。

 60歳に至った(うち45年は音楽に捧げてきた)このパウリスタ(サンパウロ出身者)は、これまでにアライーヂ・コスタ、エルメート・パスコアル、ネルソン・アイレス、ナナ・カイミなど多くの著名なアーティストと共演してきた。リリースした11枚のアルバム以外に、音楽レーベルのマリタカを創設。そのカタログに含まれる50タイトルに及ぶ作品は、ブラジルのインストミュージックシーンの俯瞰図を描く。良き仲間たちと、ブラジルの音に賭けるその才は、ヴェント・エン・マデイラのキンテートでリリースした新作『Arraial』、そしてピアニスト、アミルトン・ゴドイとリリースした『A Mil Tons』でふたたびその輝きを放つ。

 月刊ラティーナへのインタビューに対し、リリースしたばかりのアルバムについて、ブラジルのインストミュージックの新世代について、そして自身の作曲家、編曲家としての仕事について語ってくれた。

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