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[2017.03]ジュリアン・ドレ|新しい愛の形を発見した フレンチポップの風雲児

文●佐藤篁之 text by HITOYASU SATO

 ハイファッション誌ELLEの「今年最もセクシーな男」に選ばれてから10年、ついにジュリアン・ドレが日本での本格的デビューを飾る。フランスで発表したオリジナルアルバムは4枚。そのどれもがプラチナディスクやゴールドディスクを獲得し、3作目の『LOVE』をベースにしたツアーは、全170公演ソルドアウトの大評判となった。ただし、生身のジュリアンはそんなスター・データとはまったく別の処にいた。

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「ぼくはいつも自分自身が〝感じる〟ものを音楽にしてきた。だから、少しおかしく思われるかもしれないけれど、これまでヒット曲を作ろうと思ったことはないし、スターを目指したという気持ちもないんだ。

 じゃあ、なんでヌーヴェル・スターなんていう番組からデビューしたのか、って聞かれるかな。でもそれは、ぼくの音楽を発信するのに、そこがそのときの一番いい舞台だって思ったからだよ」

 2000年代のはじめ、フランスの音楽界には〝スタ誕〟システムの大ブームが起こっていた。各テレビ局が競うように勝ち抜きの公開オーディション番組を放映し、年中行事のように優勝者たちがポップ・ミュージックの新星として華々しいデビューを遂げる——ジュリアンが最初に登場したのも、じつはそんな代表的番組、2007年のヌーヴェル・スターだった。

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