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[2019.08]ネルソン・ゴンサーレス 〜サルサは死なない、永遠に〜

文●山本幸洋 text by TAKAHIRO YAMAMOTO

 岡本郁生さんの連載〝TÚ SOLO TÚ〟で紹介されていたが、昨18年のエディ・パルミエーリの新録は『Full Circle』『Mi Luz Mayor』の2タイトル。17年7月の来日時点ではビッグ・バンドで新作レコーディングをしているとのことだったが、それが11月に出た『Mi Luz〜』であり、それに先駆けて8月に『Full〜』がでた。『Full〜』は現行メンバーでの主要ライヴ・レパートリーであり、演奏の質の高さといい、代表曲揃いなことといい近年稀に見るNYラテン極上盤なのだが、驚くべきことに、そのマルチ・トラックとディジタル・コンソールがアプリで配信されている。ヴォーカルを含む全17チャネルが自在にミキシングできるので、ジャズの教則盤でいうところのマイナス・ワンはもちろん、何人でも楽器持ち寄りでエディ・バンドに合わせて練習できるという優れものだ。これを見て私は、エディがサルサの未来のため、ミュージシャン志望者に練習の環境をプレゼントしたのだと確信した。そして連想したのが楽器メーカ:ラテン・パーカッション(LP)社が販促のために発売した教則盤、『Understanding Latin Rhythms』シリーズだ。キューバン・パーカッションの伝道師パタート・バルデースとホセ・マングアルの第1集に続く第2集の監修と演奏はネルソン・ゴンサーレス。クアトロ奏者ジョーモ・トーロ亡き後のエディ楽団のトレース奏者である。(2019年4月11日、都内にて。協力:ブルーノート東京)

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