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[2018.08]連載 太平洋の向こう岸からの手紙 #14 『ルイス・カロ』

文●フアン・フェルミン・フェラリス

 音楽家、文筆家、俳優、曲芸師、詩人、商人、これらすべてがルイス・カロを定義できるものです。ですがより当てはまるのが労動者という言葉です。そして全ての労働者の様に未来の方へ目を向け、夢想家へ変わり、日常の観察者、労働者の詩人になりました。その人柄はピクサーが大きなテーマとして描くことが出来、ダリのような美しい口髭、コミカルで寛容な見た目があります。たとえ全てのプロフィールがボヘミアンの様でも、ルイスは紙から飛び出す様な作品を創り出す人に思えます。

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 ルイスの広い作品歴には子供達の為の作品や、「Morales Moralitos」と「El Rastro」という政治的経済的亡命を語る2冊の本もあります。彼の機知に富んだ物語を聞くのに次の逸話だけでは足りません。ルイスがアルゼンチン南部をツアーしていた時代は夜間はコンサートをし、日中は村の様々な場所で、商人に上着や防寒具を売っていたのです。

 私たちよりも遅くにルイスが目を覚まし、家から出なかったのを見たのは、唯一その朝だったに違いありません。思うに一般的にそれは落ち着かない彼の性格では起こり得ないことでした。彼の最初の亡命の帰還時、ヌエベ・デ・フリオ地区に最初の家を建てました。カロテヌートの息子たちが日々の生活として記憶しているその幼少期、その地でフアン・ミゲル、彼の下の息子であり私の友人が善良にそしてわんぱくに生きることを学んだ道。その家には私は決してたどり着くことはありませんでしたが、しかしジョアン・マヌエル・セラーの訪問を85年に受けたことに驚きがありました。思うに、ジョアン・マヌエルの身振りにはなんの畏怖もなかったのでしょう。ルイスとその家族からの、その招待には何か配慮があったはずです。彼らが持つ無償の愛の何かが。

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