見出し画像

[2021.10]【シリーズ:ブラジル音楽の新しい才能⑤】 マジュール(Majur)

 e-magazine LATINA によるブラジルのポピュラー音楽の中で頭角を現し始めた新しい才能を紹介するシリーズです。レポートは、ブラジル人音楽ジャーナリストのヂエゴ・ムニス。今回は、ブラジルの音楽的表象性を歌う2人の歌手を紹介します。

※こちらの記事は、10/27からは、有料定期購読会員の方が読める記事になります。定期購読はこちらから。

文●ヂエゴ・ムニス(Diego Muniz)

画像1

マジュール(Majur|左)とイラン(Hiran|右)と満面の笑みのカエターノ・ヴェローゾ(中央)

 2015年以降、リニケル(Liniker)やパブロ・ヴィタール(Pabllo Vittar)などが登場したことで、LGBTI+(Lesbian, Gay, Bisexual, Transvestite, Transgender, Intersexなどの呼称)のアーティストたちが、ブラジル音楽シーンの中で認知度を高め始めています。

 その中でも特に活躍の場を広げているマジュール(Majur)イラン(Hiran)は、作曲や映像作品の面で多様性をもたらし、カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)やマリア・ベターニア(Maria Bethânia)、イヴェッチ・サンガロ(Ivete Sangalo)といった有名な音楽家のファンも獲得しています。

 ブラジルのポピュラー音楽史の壁を壊しながら、すでにその歴史に名を刻み始めている2人のアーティストを紹介します。

 ※ イラン(Hiran)編は近日公開します。

Majur

 身長1メートル95センチ。パワフルな歌声と迫力あるルックスで、3年ほど前からブラジルで注目を集め始めたマジュール(Majur)。歌手であり作曲家であり、最も将来性のある才能のうちの1人だと考えられているマジュールは、サルヴァドール郊外で生まれ育ち、5歳のときに、サルヴァドール・ユース・シンフォニー・オーケストラの合唱団に参加しました。

 黒人であり、ノンバイナリージェンダー(自分が1つの性別のみには属さないと認識している人々)であることを認識しているマジュールは、夜のサルヴァドールで演奏するためのバンドを結成し、プロとしてのキャリアをスタートしました。

 アフリカ系、R&B、ファンク、ソウル、MPBのリズムをミックスしたマジュールは、食の地区でありボヘミアンな地区であるバーハ地区のバーで歌っていましたが、2018年にリニケルのコンサートに出演し、人々の関心を集めるようになりました。

 同年に、カエターノ・ヴェローゾがマジュールのファンであると公言。また、2019年、パブロ・ヴィタールも参加したラッパーのエミシーダ(Emicida)のトラック「AmarElo」で、パワフルなヴォーカルを披露したことで、認知度は更に高くなりました。

続きをみるには

残り 1,227字

このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…