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[2018.03]島々百景 #25 沖縄本島那覇・辻、仲島、渡地

文と写真:宮沢和史

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 日本ではかつて、貧しい農村部の家庭がやむなく娘を売ってなんとか飢えを凌いだ。といった日本の歴史の日陰に潜む話を耳にしてきた。近代史を見回しても昭和の大飢饉から世界大戦へと転がり落ちていく過程で我が国は多くの貧困者、餓死者を生み出し、大勢の娘たちが遊郭へと身売りされる人身売買を横行させてしまった。明治や大正の頃には海を越え、海外へ渡らされ娼婦として働いた人たちも多く存在したという。貧しさから逃れ、地元を離れ異国へと旅立ち、移民という形で活路を見いだそうとする者たちの中には渡航のためのまとまったお金を得るために子供の身売りを余儀なく行なったケースもあったという。琉球も同じような現実がかつてはあった。地方の貧しい農村から、那覇の辻、仲島、渡地の遊郭へと娘たちが売られていった。

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