見出し画像

[2019.12]マティアス・グランデ(キンテート・グランデ)インタビュー

文●鈴木一哉 text by KAZUYA SUZUKI

 51回目を迎える民音のタンゴ・シリーズでヴァイオリン奏者マティアス・グランデ率いるキンテート・グランデが来日ツアーをおこなう。タンゴ・ヴァイオリンの最高峰エンリケ・マリオ・フランチーニ(1916– 78)が1970年代初頭に率いていた六重奏団(バンドネオンと編曲をネストル・マルコーニが担当)はアルバム1枚の録音を残したが、そのスタイルの再生を当初の目標として2017年に結成された五重奏団である。フアン・パブロ・ナバーロ六重奏団でも弾いている若手の筆頭格のバンドネオン奏者ニコラス・エンリッチなど充実したメンバーを擁しており、何度も来日経験がある実力派女性歌手バネッサ・キロスが帯同する点も特筆される。来日に当たってメール・インタビューを試みた。(翻訳:宇戸裕紀)

 ── タンゴという音楽を意識なさったのはいつごろからでしたか?どのような経緯でタンゴでの演奏活動を始めたのでしょうか?

マティアス・グランデ クラシックから音楽の世界に入りまして、音楽院でヴァイオリンを専攻したこともあり、23歳からブエノスアイレス・フィルハーモニーのメンバーを務めたのがキャリアの始まりです。父親は膨大なLPコレクションを揃えており、7歳の頃からジャズを聴くようになりました。その中にルイ・アームストロングのLPがあり、スペイン語の曲があることに気がつきました。父親にたずねてみると、それはタンゴの曲ということがわかりました。その頃から家にあったタンゴのレコードを漁るようになり、タンゴにとりつかれるようになりました。それはクラシックやジャズと並行した好みとなっていき、幸運なことにアティリオ・スタンポーネが自身のキンテートのメンバーに呼んでくれたのですが、ちょうど同じ年にコロン劇場でフィルハーモニーの一員として働きはじめていたので時間を取れませんでした…その年に日本と中国へのツアーに行き、帰ってくるとアティリオはカーニョ・カトルセ(注:スタンポーネが経営していたタンゴ・スポット)の最後のヴァイオリン奏者としてベリンジェリ、バッファ、ラビエ、アメリータ・バルタールとともに招いてくれました。タンゴに対してものすごく大きな感情の動きを感じたため、コロン劇場を去ろうかと思いましたが、フィルハーモニーへの愛を隠しきれなかったため、結局辞めることはありませんでした。この二つの世界へと携わってこられたのは自分にとって非常に象徴的なものでもあります。今年に限って言えば、ダニエル・ルジェーロが作曲したヴァイオリンとバンドネオンとオーケストラのための二重協奏曲のソリストとしてフィルハーモニーの中でタンゴを演奏することもできました。

画像2

この続きをみるには

この続き: 2,806文字 / 画像3枚
この記事が含まれているマガジンを購入・購読する
このマガジンにはラティーナ2019年12月号の主要な記事が収められていますが、定期購読マガジンの「ラティーナ」を購読していただくと、最新号とアーカイブの全てが月額900円で読めるのでお得です。(※デジタル定期購読している方は、e-magazine LATINA内の全ての記事が読めます。このマガジンを「目次」と考えてください)

ラティーナ2019年12月号のアーカイブです。

このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…

「スキ」、ありがとうございます! Obrigada!
広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に。 あなたの生活を世界中の多様な音楽で彩るために情報を発信します。 月額900円のデジタル定期購読で、新規記事も、過去のアーカイブも読み放題! (※2017年以降の主要記事がアップ済。順次追加)

こちらでもピックアップされています

世界の音楽情報誌「ラティーナ」
世界の音楽情報誌「ラティーナ」
  • ¥900 / 月

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活を世界中の多様な音楽で彩るために、これからはこちらから情報を発信していきます。 毎月の特集や、強力な面々による連載に期待してください。世界のニュースや音楽情報、新譜リリース情報、イベント情報などは、日々更新していきます。購読者に向けて、様々なプレイリストも共有予定です。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。