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[2018.09]島々百景 #31 徳之島

文と写真:宮沢和史

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ワイド ワイド ワイド
我きゃ牛ワイド  全島一ワイド
三京の山風 如何荒さあても
愛しゃる牛ぐゎに 草刈らじうかりゅめ
ウーレ ウレ ウレ 手舞んけ 足舞んけ
指笛吹け 塩まけ ウーレ ウレ ウレ
我きゃ牛ワイド 全島一ワイド

ワイド ワイド ワイド
俺の牛が一番 島で一番
三京の山風がいくら荒れ吹いても
愛しい牛っ子のためにゃ 草を刈らずにいられない
ウーレ ウレ ウレ 手踊り 足踊り
指笛を吹いて 塩を撒け ウーレ ウレ ウレ 
俺の牛が一番 島で一番強い牛
「ワイド節」
作詞:中村民郎 作曲:坪山豊

 これは闘牛の島として名高い徳之島を代表する民謡「ワイド節」である。〝ワイド〟とは勝利した時などに言う〝バンザイ!〟〝やったー!〟というニュアンスの言葉らしく、地名の〝八重竿(やえぞ)〟が訛ったものだとも言われている。威勢のいいこの曲を聴くたびにいつかは渡ってみたい島……。であり、近い将来必ず上陸するはずの島……。漠然とそう思える予感があったまま久しかった。

 地理的には奄美大島の南に寄り添う加計呂麻島から30㎞強ほど南西に下りたところに位置する。奄美大島から加計呂麻島には行くことはあっても、徳之島までもう一歩足を伸ばそうとする人はなかなか少ないのではないだろうか?しかし、この夏、嬉しいニュースが舞い込んできた。2018年7月よりJALグループでは〝奄美群島アイランドホッピングルート〟が開設され、奄美大島~徳之島~沖永良部島~沖縄本島をまるで飛び石を飛ぶように気軽に旅ができるようになったのである。実際に飛行機に乗ってみると、飛行高度まで上がったのもつかの間「これから着陸態勢に入ります」というアナウンスが機内に流れ、思わずクスッと笑ってしまった。まさにアイランドホッピングと呼ぶにふさわしい。

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